映画「幸福の黄色いハンカチ」

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
高倉健                        倍賞千恵子

今回は山田洋次監督1977年製作「幸福の黄色いハンカチ」をピックアップした。
本作はピート・ハミル「黄色いリボン」を映画化したもので、北海道を舞台に刑務所帰りの中年男と偶然出会った若い男女が、それぞれの愛を見つけるまでを描いたロードムービーだ。国内の映画賞を独占した山田洋次監督の代表作でもある。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
武田鉄矢、桃井かおり

【ストリー】
欽也(武田鉄矢)が島勇作(高倉健)と逢ったのは、春の陽差しの強い網走の海岸であった。欽也は自分の車で、北海道の広い道をカッコイイ女の子を乗せて、ドライブするのが高校時代からの夢で、嫌な仕事も無理をして勤め、金をためて新車を買い求めた。東京からフェリーで釧路港へ、そして、あざやかな緑の根釧原野を欽也の赤い車は、ラジオの軽快なリズムに合わせて、ひた走った。欽也は網走の駅前で、一人でふらりと旅に出た朱実(桃井かおり)と知り合う。朱実は列車食堂の売り子で、同僚から誤解を受けて、やけくそになって旅に出たのだった。朱実は欽也の車に乗せてもらったものの、海岸で不意に欽也からキスを求められて、車から飛び出した。逃げ出した朱実をかばい、鋭い目付で欽也を睨んだ男、それが島勇作であった。欽也から見た勇作は、なんともいえない、いい男だった。しかし、欽也は啖呵を切った行きがかり上、勇作に挑むが、軽くあしらわれてしまう。そんなことがきっかけで、三人の旅は始まった。欽也が勇作に行く先を尋ねると、彼は暫らく考え、「夕張」と答えるだけだった。その夜、三人で泊まった宿で、欽也は、勇作が眠ったのを見定め、朱実の寝床に忍び込む。朱実は必死に抵抗し、大声で泣き出したため、目をさました勇作に、欽也は一喝を喰わされてしまった。翌日、欽也は毛ガニを買いこみ、一人で二匹もたいらげたことから、腹をこわしてしまう。車を運転していても、便所のあるところを見つけてはかけこむ始末である。そんなことで、十勝平野の美しい風景も欽也には共感が湧いてこなかった。大雪山が見える狩勝峠で、強盗犯人が逃亡したことから一斉検問が行なわれていた。欽也は免許証を見せるだけで済んだが、警官は勇作を不審に思い質問すると、一昨日刑期を終え、網走刑務所を出所したと彼は答えた。朱実と欽也は驚きのあまり、語る言葉もなかった。三人はパトカーで連行されるが、勇作が六年前、傷害事件をおこした際立合った温厚な渡辺課長(渥美清)の取りはからいで、何もなく富良野署から釈放される。走る車の中で勇作は重い口を開いて、朱実と欽也に過去を語り出した。--勇作は若い頃、九州に住んでいたが、三十歳を過ぎて考えを変え、夕張の炭抗で働らき始めた。その頃、町のスーパー・マーケットで働いていた光枝と恋をして結婚した。それから数年は幸福な日が続いた。そして光枝は妊娠するが、折角出来た赤ちゃんを流産してしまった。その夜、勇作は飲み屋で酔っぱらったチンピラに因縁をつけられる。あまりのしつこさに勇作は腹をたて、相手を殴ると、チンピラはそのまま死んでしまう。勇作は六年間、刑務所で過すが、光枝の面影は、勇作の心から離れなかった。刑期を終える直前、勇作は光枝に手紙を書いた。「俺は、お前が良い男と再婚して、幸せになっていることを望んでいる。この手紙がつく頃、俺は夕張に行くが、もしも、お前が今でも独りで暮しているなら、庭先の鯉のぼりの竿の先に黄色いハンカチをつけておいてくれ。そのハンカチを見たら俺は家に帰る。でもハンカチがなかったら、俺はそのまま夕張を去っていく」と。--その話を聞いた朱実と欽也は声をふるわせて泣いた。車は赤平、歌志内、砂川を過ぎて一直線に夕張に向かう。朱実と欽也の祈りをこめて、車は夕張の町に近づいた。しかし、勇作は引返そうと言い出す。陸橋を越え、車は大きくカーブを描き、街の坂を登っていった。その時、欽也と朱実の眼に映ったものは、角の家の狭い庭先に、不釣合いな高い旗竿の上から下まで並んだ何十枚もの黄色いハンカチであった。欽也と朱実は手と手を固く握りしめる。黄色いハンカチのなびく家から、光枝は出てきた。語りきれない愛の言葉を胸に秘め、静かで温かな勇作の眼は、じっと光枝を見つめている。六年の歳月も、二人を離すことはできなかったのだった。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
渥美清                      武田鉄矢、桃井かおり

題名:幸福の黄色いハンカチ
監督:山田洋次
製作:名島徹
原作:ピート・ハミル「黄色いリボン」
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛、松本隆司
美術:出川三男
装置 :小島勝男
装飾 :町田武
衣裳 :松竹衣裳
編集:石井巌
音楽:佐藤勝
現像:東洋現像所
製作主任:峰順一
製作進行:玉生久宗
監督助手:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、武田鉄矢、渥美清、太宰久雄、三崎千恵子、たこ八郎、小野泰次郎、谷よしの、岡本茉利、赤塚真人
1977年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー108分35mmフィルム
幸福の黄色いハンカチ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
高倉健

映画「男はつらいよ・知床慕情」


渥美清                       竹下景子(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1987年製作「男はつらいよ・知床慕情」をピックアップする。
第38作となる本作のロケ地は、北海道斜里郡斜里町、岐阜県岐阜市などで行われ、封切り時の観客動員は207万4,000人、配給収入は12億4,000万円だったそうだ。当時のロードショー入場料金は1,500円、併映は「塀の中の懲りない面々(監督:森崎東 出演:藤竜也、植木等、山城新伍、小柳ルミ子、花沢徳衛、柳葉敏郎、川谷拓三)」であった。マドンナ役の竹下景子さんは「口笛を吹く寅次郎(第32作/1983年)」編、「寅次郎心の旅路(第41作/1989年)」編にも出演している。(別キャラクター)


三船敏郎                       淡路恵子

【ストリー】
久しぶりに寅次郎(渥美清)が帰ってきたというのに、“とらや”は竜造(下條正巳)が入院のため休業中。翌日から店を開けるというつね(三崎千恵子)に、寅次郎は手伝いを買って出るが勤まる訳がない。またまた口論の末、飛び出した。北海道の知床にやって来た寅次郎は、武骨な獣医・上野順吉(三船敏郎)が運転するポンコツのライトバンに乗ったのが縁で彼の家に泊ることになる。順吉はやもめ暮らしで、この町のスナック“はまなす”のママ・悦子(淡路恵子)が洗濯物などの世話をやいていた。“はまなす”は知床に住む気の良い男たちのたまり場で、常連は船長(すまけい)、マコト(赤塚真人)、文男(油井昌由樹)、それにホテルの経営者の通称“二代目(冷泉公裕)”たち。そこに寅次郎が加わって宴はいっそう賑いだ。そんなある日、順吉の娘・りん子(竹下景子)が戻って来た。駆け落ちして東京で暮らしていたが、結婚生活に破れて傷心で里帰りしたのだ。寅次郎たちは暖かく迎えたが、父親の順吉だけが冷たい言葉を投げつける。身辺の整理のため、東京に一度戻ったりん子は寅次郎からの土産を届けにとらやを訪れ、さくら(倍賞千恵子)たちから歓待を受けた。とらやの面々はまた、寅の病気が始まったと想うのだった。東京から戻ったりん子も囲んで、“知床の自然を守る会”と称するバーベキュー・パーティが広々とした岸辺で開かれた。そこで一同は悦子が店をたたんで故郷に帰る決心であることを知らされた。順吉が突然意義を唱え、寅次郎は「勇気を出して理由を言え」とたきつける。順吉は端ぐように「俺が惚れてるからだ」と言い放った。悦子の目にみるみる涙が溢れる。船長が「知床旅情」を歌い出し全員が合唱した。寅次郎はりん子に手を握られているのに気づき身を固くした。その晩“はまなす”では宴会が開かれ、順吉と悦子は結婚することになった。翌朝、寅次郎が別れも告げずに旅立ってしまったことを知り驚くりん子。船長がりん子に惚れてるんじゃないかとからかったためだった。東京に戻り職をみつけたりん子はとらやを訪れる。その頃、寅次郎は岐阜で初秋を迎えていた。


三船敏郎、淡路恵子                竹下景子、佐藤蛾次郎

前田吟、倍賞千恵子、渥美清         三崎千恵子、倍賞千恵子、下條正巳

題名:男はつらいよ・知床慕情
監督:山田洋次
企画:小林俊一
製作:島津清、深澤宏
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌・唄:渥美清 「知床旅情」唄・森繁久弥
撮影機材:パナビジョン
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
製作進行:副田稔
監督助手:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、竹下景子、三船敏郎、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、下條正巳、美保純、吉岡秀隆、淡路恵子、赤塚真人、笹野高史、油井昌由樹、すまけい、イッセー尾形、マキノ佐代子、冷泉公裕、すまけい
1987年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー107分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・知床慕情 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三船敏郎                      三船敏郎、渥美清

映画「男はつらいよ・寅次郎純情詩集」


渥美清、檀ふみ                   京マチ子(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1976年製作「男はつらいよ・寅次郎純情詩集」をピックアップする。
第18作となる本作のロケ地は、長野県別所温泉、新潟県六日町町などで行われ、封切り時の観客動員は172万6,000人、配給収入は10億8,600万円だったそうだ。当時のロードショー入場料金は1,300円、併映は「おとうと(監督:山根成之 出演:郷ひろみ、浅芽陽子、木村功、岩崎加根子)」であった。


【タイトルバックのシーン】
テレビ映画の撮影シーンで使われた劇用キャメラは、Arriflex 16 BLを使用している。
出演:統一劇場

【ストリー】
暖かな初秋の陽差しをあびて、今日も帝釈天の参道は多くの参拝客で賑っている。その門前で、柴又名物のだんごや「とらや」を経営している寅のおいちゃん夫婦(下條正巳・三崎千恵子)、最愛の妹さくら夫婦(前田吟・倍賞千恵子)、そして隣りの印刷工場の社長(太宰久雄)らも平穏無事な日々を過ごしていた。今日は、さくら夫婦の一人息子満男を先生が家庭訪問する日であった。「とらや」の連中は朝からそわそわしている。というのは、担任の先生が産休のため、代わりに、美しい雅子先生(檀ふみ)がやって来るからである。「こんな時に寅が帰って来たら大変なことになる」と一同が噂している最中、雅子先生の後から、寅が平和な顔をしてブラリと帰ってきた。あきれる皆をよそに寅は持前の饒舌で雅子先生の相手をし、家庭訪問をメチャクチャにしてしまった。さくら夫婦はカンカンに怒ってしまった。寅に反省を求めようと、皆がまちかまえている所へ、バツの悪そうに寅が帰って来た。それからは、例の通りの大喧嘩。そして、寅は再び旅に出てしまった。数日後、寅は紅葉美しき信濃路を旅していた。寅はここで昔世話した旅役者の一行に偶然出会った。その晩、寅はドンチャン騒ぎをし、翌朝になって旅館に無銭飲食がバレて、警察のやっかいになってしまった。知らせを受けたさくらは寅を引きとりに来た。さすがの寅も後悔して、ションボリ柴又へ帰ってきたのである。柴又に帰った寅は、また雅子先生について話し始めた。「あの娘に教養があって、気品溢れる未亡人の母親でもいれば別だけど」と。そんな折も折、雅子先生が綾(京マチ子)という美しい、しかも未亡人の母親をつれて、「とらや」にやって来た。寅の勘は的中し、とらやの連中はまたまた絶望の境地に追いこまれた。綾は由緒ある家柄の未亡人だが、昔から病気がちで、ほとんど家にとじこもっていた。綾と寅は昔からの顔なじみであった。そんなある日、寅は夕食に招待された。綾に捧げる寅の慕情はつのる一方であった。しかし綾の病気はすでに、かなり悪化していた。ある日、綾は眠るようにしてこの世を去った。明けて昭和52年のお正月。帝釈天の参道は、初詣客でいっぱい。とらやの連中はてんてこ舞いの忙しさ。そんな頃、寅は雪に覆われた山々を背にした、田舎の小学校に転任した雅子先生を訪ねていた。


京マチ子、渥美清               佐藤蛾次郎、渥美清、京マチ子

題名:男はつらいよ・寅次郎純情詩集
監督:山田洋次
企画:高島幸夫、小林俊一
製作:名島徹
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛
調音:松本隆司
美術:出川三男
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌・唄:渥美清
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
製作進行:玉生久宗
製作宣伝:藤谷正雄
助監督:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、京マチ子、檀ふみ、倍賞千恵子、前田吟、下條正巳、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、永六輔、谷村昌彦、梅津栄、浦辺粂子、岡本茉利、谷村昌彦、吉田義夫、赤塚真人、中村はやと、統一劇場
1976年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー103分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・寅次郎純情詩集 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


倍賞千恵子、渥美清