映画「座頭市血笑旅」

座頭市血笑旅座頭市血笑旅
勝新太郎                          高千穂ひづる

今回は三隅研次監督1964年製作「座頭市血笑旅」をピックアップする。
本作は、“座頭市”シリーズ”第8作目になる。座頭市のキャラクターを、赤ん坊とお香との道行を通じて一歩入り込んで描いている。座頭市が赤ん坊に感情移入して行く様は、勝新太郎さんの芝居の深さを感じずにはいられなかった。流石、映画俳優である。

座頭市シリーズ

座頭市血笑旅座頭市血笑旅
高千穂ひづる、勝新太郎                座頭市血笑旅
座頭市血笑旅座頭市血笑旅
金子信雄、勝新太郎                  座頭市血笑旅

【ストリー】
甲州路を行く座頭市(勝新太郎)を見えがくれに追う5人組の殺し屋、文珠の和平次(石黒達也)、島蔵(藤山浩二)、猪蔵(橋本力)、菊蔵(北城寿太郎)、鶴蔵(千石泰三)らは、市が乗った駕を先廻りして刺した。だが駕の中は赤ん坊を抱いた若い女おとよ(川口のぶ)であった。市は途中で、急病に苦しむおとよに、駕をゆずったのだった。おとよの死を知った市は、その亭主信州宮本村の宇之助(金子信雄)の許まで、赤ん坊を届けることにした。赤ん坊を抱いて、”めくらの市”は、駕かき土平(沖時男)と馬助(越川一)を連れて子守旅を始めた。だが、5人組は、そんな市に襲いかかった。市の居合斬りで、一人を斬られた5人組。土平、馬助は退散して、市は赤ん坊と二人の旅を続けた。仲間を殺されて怒った殺し屋は、顔みしりの麻古女の半五郎(杉山昌三九)を味方にして、おしめを替えている市に斬りかかった。だがそこでも市の刀は半五郎一家十人の命を奪っていた。盲目の市が、赤ん坊の世話をしながらの、やくざ旅は、苦労の連続であった。一夜賭博で金を作った市は、翌朝、田舎侍に追われる女巾着切り、お香(高千穂ひづる)を助け、子守り代りにお香を雇った。市の気っぷに惚れたお香は、市と口喧嘩をしながらも、よくめんどうをみた。ある日、お香が赤ん坊を二階からおしっこさせたのが、通りがかった相撲取り小手丑(天王寺虎之助)にかかり、市との間に乱闘が起きた。丁度通りがかった4人組は仕込杖を持たない市に、襲いかかったが、お香の機転でのがれることができた。市とお香が、お互い離れ難い愛情が湧いたころ、市は、今ではやくざの親分となっている宇之助を訪ねた。しかし宇之助は、子分に命じて赤ん坊を抱いた市を追い払った。宇之助の態度に怒った市は、赤ん坊をおとよの遺髪と共に菩提寺瑞光院の和尚(加藤嘉)に預けた。時しも寺の外では、宇之助を味方にした殺し屋、和平次らが竹槍の先に火をつけて、市を包み討うと襲った。市の居合破りを考えた和平次の作戦であった。振りかかる火と刃の中で四人組と子分を倒した市は、可愛いい赤ん坊の父親、宇之助だけは命を許した。赤ん坊と別れる市とお香の眼に涙が光った。

座頭市血笑旅座頭市血笑旅
勝新太郎                        加藤嘉

題名:座頭市血笑旅
監督:三隅研次
企画:高森富夫、財前定生
原作:子母沢寛
脚本:星川清司、吉田哲郎、松村正温
撮影:牧浦地志
照明:山下礼二郎
録音:大谷巖
音効:倉島暢
美術:内藤昭
装置:伊藤万次郎
擬斗:宮内昌平
編集:菅沼完二
音楽:伊福部昭
現像:東洋現像所
製作主任:今村喬
助監督:友枝稔議
色彩技術:小池清茂
スチール:西地正満
出演:勝新太郎、高千穂ひづる、金子信雄、加藤嘉、石黒達也、天王寺虎之助、北城寿太郎、毛利郁子、伊達三郎、藤山浩二、橋本力、南部彰三、杉山昌三九、越川一、沖時男、川口のぶ、近江輝子、南条新太郎、石原須磨男、玉置一恵、堀北幸夫、木村玄、藤川準、愛原光一、千石泰三、黒木英男、原田清子
1964年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー87分35mmフィルム
座頭市血笑旅 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

座頭市血笑旅

映画「おさな妻」


関根恵子(高橋惠子)

関根恵子                      新克利

今回は臼坂礼次郎監督1970年製作「おさな妻」をピックアップする。
本作は女優、関根恵子(現:高橋惠子)さんのデビュー作品として決定していたが、「高校生ブルース」の主演予定だった女優が怪我をしたことから、代役に抜擢され1970年8月封切の「高校生ブルース」がデビュー作となった。

【ストリー】
黛玲子(関根恵子)は数カ月前、母(坪内ミキ子)を病気でなくし、みなし子になってしまった。親族会議の結果、伯母静江の家に引き取られることになった。母をなくした悲しみを、静江(近江輝子)は優しくいたわり、今まで通り高校に通わせてくれたが、静江の息子淳一(炎三四郎)だけは、いかがわしい眼つきで玲子を見ていた。ある日、淳一が静江の留守中、学校から帰った玲子に乱暴しようとしたため、玲子はこの家を出る決心をする。行くあてもなく町をブラブラしている玲子に声をかけたのは由紀子(渡辺美佐子)というあまり売れない、小劇場の舞台女優だった。由紀子に事情を説明すると、こころよく、彼女のアパートにとめてくれ、翌日、安いアパートを紹介してくれた。静江の反対を押し切ってアパートでの一人暮しを始めた玲子は、再会した幼稚園時代の先生の紹介で通学のかたわら保育園で子供たちの面倒をみるアルバイトを始めた。生活のためとはいえ、学校を抱えてのアルバイトは苦しかったが、やがてそれもなれた。園児たちはすぐ玲子になつき、ことに母のないまゆみ(佐藤久里子)は、玲子を母のようにしたうようになった。やがてまゆみを間にはさみ、父親の吉川(新克利)と玲子は食事をしたり、買い物をしたりする、楽しい時間を持つようになった。玲子は、吉川をまゆみの父親としてよりも、男性として愛情を感じ始めていた。吉川の強引な求婚に、玲子は高校生という自分の立場と吉川との年齢の開きに躊躇しながらも結婚に合意する。幸せな結婚生活が続いた。しかし、ふとしたきっかけで吉川の昔の恋人(真山知子)を知り、いまもなおその恋人が吉川を愛していることを知った玲子は、大人の愛憎の複雑さが理解できず自暴自棄になって結婚を後悔し、家庭を棄てようとするが、吉川の強い愛情を感じ、やがてまゆみと吉川との静かで平和な生活にもどっていった。


真山知子

題名:おさな妻
監督:臼坂礼次郎
企画:藤井浩明、川崎治直
原作:富島健夫
脚本:白坂依志夫、安本莞二
撮影:上原明
照明:久保江平八
録音:飛田喜美雄
美術:間野重雄
編集:糸井敬男
音楽:八木正生 主題歌:関根恵子「はじめての愛」
現像:東京現像所
製作主任:川村清
助監督:山本洋
スチール:大葉博一
出演:関根恵子(高橋惠子)、新克利、渡辺美佐子、近江輝子、坪内ミキ子、真山知子、福田豊土、八代順子、炎三四郎、佐藤久里子
1970年日本・大映/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
おさな妻 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


京王井の頭線神泉駅前3000系(1970年)

映画「しびれくらげ」

しびれくらげ
渥美マリ
しびれくらげしびれくらげ
渥美マリ                    川津祐介、渥美マリ

今回は増村保造監督1970年製作「しびれくらげ」をピックアップした。
本作は1969年製作の「でんきくらげ」 のヒットを受けて再び主演に渥美マリさんを迎えた”軟体動物シリーズ”2作目だ。前作との関連性はないが、玉川良一さんのダメ親父ぶりがアップグレードされ、田村亮さん演じる正義感の強いヤクザの絡みが物語りを拡張させている。私は渥美マリさんという女優が好きだったので彼女が出て来ると今もドキドキするのが不思議だ。

しびれくらげしびれくらげ
渥美マリ                 玉川良一、渥美マリ、田村亮

【ストリー】
ファッションモデルのみどり(渥美マリ)は、大メーカー大東繊維のファッションショウの仕事を独占していた。これは大東繊維の腕きき若手営業マン、山崎宏(川津祐介)がみどりの恋人であったためだった。みどりはある日突然宏から、ニューヨークに本店をもつ大百貨店の仕入担当重役ヘンダーソンと寝てくれと頼まれる。もしヘンダーソンの願いを聞き入れれば莫大なメリットの取引きが成立し、宏の地位が一躍上るというのである。みどりの意見を無視した強引さと、二人の将来という甘い言葉に説得されみどりは黙ってうなずくしかなかった。数日後、サインを取りかわした宏は、高笑いの渦巻く大東繊維の重役室の金庫の中に契約書を収めた。みどりには正介(玉川良一)という父親がいたが、正介は父親としての勤めは一切せず、女ぐせが悪く、酒に溺れ、みどりに金をせびる厄介者な上に、暗い過去をもつ男の常として無気力で、今はストリップ小屋の楽屋番として終日グチるしか能のない中年男であった。正介はかねてより目をつけていた近所の美人局のバーのママを口説くために、芸能人だとふれこみ、みどりの載った週刊誌のグラビアをちらつかせてホテルに連れ込むが、亭主である笠原組の幹部山野と健次に踏み込まれ、おとしまえとして百万円を請求されてしまい、途方にくれた正介は、こともあろうに大東繊維の本社に宏を訪ね、金の無心をしてしまう。このことを知ったみどりは宏のマンションを訪ね、許しを乞うが、会社での自分の安全と将来しか気づかわない宏は「百万円はヘンダーソンのお礼だ」と冷たく追いかえしてしまう。こんな噂が、みどりの所属するクラブにと広がり、みどりのモデルとしての生命を断ち切ってしまった。貧しい生活にもどった正介は酒浸りの夜が続き、そんなある晩、屋台で酔い潰れているところを、山野の子分に見つかり旅館に連れ込まれ、みどりをここへ呼べと脅迫される。意志の弱い正介はみどりに助けを乞うために旅館へと呼び寄せるが、これはみどりの見事な肢体に目をつけた山野が、みどりを笠原組のコールガールにしようという目論みだった。窮地に追いこまれたみどりを救ったのは、みどりと同じような父親をもった健次(田村亮)だった。この事件以来、みどりは健次に親近感を覚え、みどりを助けたことから組から追われる身となり、やくざから足を洗おうとしている健次に、ヘンダーソンの件で大東繊維からおどしとった一千万円の小切手を差出すのだった。お互いに今の環境から抜けだしたときに再会すること約束し、二人は明日に向っての明るい気持で別れていった。

しびれくらげしびれくらげ
渥美マリ、田村亮                  玉川良一、田村亮

題名:しびれくらげ
監督:増村保造
企画:関幸輔
脚本:石松愛弘、増村保造
撮影:小林節雄
照明:渡辺長治
録音:須田武雄
美術:後藤岱二郎
編集:中静達治
音楽:山内正
現像:東京現像所
助監督:石井岩太郎
スチール:沓掛恒一
出演:渥美マリ、川津祐介、田村亮、玉川良一、根岸明美、中原早苗、八代順子、西村晃、内田朝雄、草野大悟、近江輝子、笠原玲子
1970年日本・大映/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
しびれくらげ [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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川津祐介、渥美マリ