映画「地獄の曲り角」

地獄の曲り角
「地獄の曲り角」稲垣美穂子
地獄の曲り角地獄の曲り角
葉山良二                         稲垣美穂子

今回は藏原惟繕監督1959年製作「地獄の曲り角」をピックアップする。
本作は、藤原審爾氏の原作を日本版フィルム・ノワールとして映画化したものだ。内容は、仕掛けれた謎と裏の世界で伸し上がった男の物語である。男が殺し屋にロックオンされるラストの終わり方は、私は好きだ。南田洋子さんが美しく印象に残った。

地獄の曲り角
葉山良二、稲垣美穂子
地獄の曲り角地獄の曲り角
南田洋子                      葉山良二、大泉滉

【ストリー】
さくらホテルのボーイ牧(葉山良二)は殺人事件のあった部屋で「3分の1の鍵」と書かれた紙片と鍵の一部をひろった。翌日の朝刊で、彼は昨夜の殺人はある公団の収賄事件にまつわるもので、殺されたのは出所直後の某省課長補佐であり、共犯の課長松永(二本柳寛)はなお服役しており、1億5千万円の金が行方不明になっているのを知った。思わぬ運命の微笑に彼は狂喜した。ホテルの花屋につとめながら、10万円でその店を買い、彼と暮すことを夢見ている恋人章子(稲垣美穂子)の心配をよそに、彼は生活態度をきりかえた。事件のあった隣りの部屋に宿をとった謎の女貴子(南田洋子)は、色じかけで彼の鍵を狙ってきた。彼女を手にいれた牧は、ホテルの部屋にテープレコーダーをしかけ、密会するアベックから金をおどしとることをはじめ、やくざの上月組とはり合うようになった。麻薬事件を密告して上月組の組織を自分のものにした牧は、今やいっぱしの顔の利く男となった。しかし、花屋を買いとってもらって経営にあたっていた章子は、そんな牧をいやがった。だが牧の目は覚めなかった。貴子の持っていた鍵を手に入れ、出所した松永の手から殺し屋を使って鍵を奪った牧は、3つを合せて中央郵便局私書函からメモをとり出し、それをコピーしてメモにある3人の人物をホテルに集めた。代議士吉満(嵯峨善兵)、局長鈴木(山田禅二)、某会社専務宮岡(松下達夫)の三人は、牧殺害を計ったが、計画はかつて牧のしかけておいたテープにとられていた。こうして5千円札のぎっしり詰ったパッグを手中におさめた牧は、それを自動車に投げ入れて乗ろうとした時、章子の電話でフロントに呼ばれた。そのスキに貴子が車にとびのり、逃走した。だが車には牧を仇と狙うサブの細工がしてあった。追う牧の目前で貴子の車と札束は炎上した。衣服は破れ、うちのめされた牧は、一人章子の部屋に倒れ込んだ。

地獄の曲り角地獄の曲り角
南田洋子、二本柳寛                    高品格

題名:地獄の曲り角
監督:藏原惟繕
企画:大塚和
原作:藤原審爾 「命と女と花」
脚本:馬場当、山田信夫、今村昌平(ノンクレジット)
撮影:間宮義雄
照明:高島正博
美術:千葉一彦
録音:沼倉範夫
技斗:峰三平
編集:鈴木晄
音楽:真鍋理一郎
製作主任:武藤良夫
助監督:野村孝、木下喜源
出演:葉山良二、稲垣美穂子、南田洋子、二本柳寛、近藤宏、高品格、大泉滉、土方弘、大町文夫、松下達夫、山田禅二、河上信夫、嵯峨善兵
1959年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ93分35mmフィルム

地獄の曲り角地獄の曲り角
地獄の曲り角

映画「赤い殺意」

赤い殺意
「赤い殺意」春川ますみ
赤い殺意赤い殺意
春川ますみ                                                              露口茂

今回は今村昌平監督1964年製作「赤い殺意」bestを8月14日に新文芸坐「戦後75年 社会派の巨匠・今村昌平 映画を通して日本の社会を考える」で「にっぽん昆虫記」と併映で観て来た。35mmフィルム上映である。
本作は、古い家族制度の中で抑圧的な環境にも拘わらず生きる貞子(春川ますみ)は、強盗(露口茂)に犯された事を契機に、彼女の性を素朴でユーモラスに織り交ぜながら、強くしたたかに変貌を遂げていく様を淡々と描いている。底辺に或るテーマは「にっぽん昆虫記」と同根である。この時代の今村作品に深く感銘する。

赤い殺意赤い殺意
西村晃、春川ますみ                  西村晃、楠侑子

【ストリー】
強盗が押し入った夜、夫の吏一(西村晃)は出張中であった。恐怖におののく貞子(春川ますみ)を、殴打しスタンドのコードで縛りあげて、獣のようにせまって来る強盗の平岡(露口茂)に、貞子は半ば気を失って呻いた。明け方強盗は再び貞子を犯して去った。“死なねばならない”貞子は、土堤下を通る鉄路にふらふらと出てみたが子供勝への愛情はたち難かった。翌日出張から帰って来た夫に、何度かうちあけようとしたが、何も気づかない風の吏一の態度に、言葉をのんだ。東北大学の図書館に勤める吏一には、事務員義子(楠侑子)と五年も肉体関係がある反面、家庭では吝嗇で、小心な夫であった。再び強盗が貞子の前に現れたのは、あれから2日後の夜だった。乱暴なふるまいのあと、「もうじき死ぬんだ、あんたに優しくしてもらいたいんだ」と哀願した。その夜吏一に抱かれながら、貞子は、家庭の平和を乱したくないと苦悶した。だが、デパートの特売場で、平岡に声をかけられた貞子を、義子が見てから、夫は、近所の学生英二との間を疑うようになった。2月の初め、妊娠に気づいた貞子に、強盗は“腹の子は俺のだ”と執拗にせまった。吏一の父清三(加藤嘉)の葬儀に行った貞子は、自分が妾腹だという理由で入籍されず、子供の勝が清三の子になっているのを知って愕然とした。数日後、平岡が合図の石を屋根に投げたのを聞いた夫が、英二(糸賀靖雄)のしわざと思いこみ嫉妬にかられて隣家に踏みこんだ。夫に疑われて追いつめられた貞子は、平岡に会いにいった。平岡はトランペット吹きで、心臓を病んでいた。よわよわしい彼の表情に負けて、またも温泉マークに入った貞子は、ついに平岡を殺そうと決意した。農薬をジュースに混入して殺すのだ。吏一の東京出張中、貞子と平岡は、汽車に乗ったが、途中不通となったため、吹雪の中を疲労にふらつく平岡を助ける貞子に義子が木影からカメラをむけていた。疲労の末貞子が手を下すまでもなく悶絶してゆく平岡を前に、貞子は、何か説明しがたい胸の痛みを感じた。そして義子も、カメラをもったまま車にはねられて死亡した。何ごともなかったような毎日が始まったが、貞子のうえには、女としての自覚と責任が、新しく芽ばえていた。

赤い殺意赤い殺意
赤木蘭子、春川ますみ           春川ますみ、小沢昭一、北村和夫、西村晃

題名:赤い殺意
監督:今村昌平
企画:高木雅行
原作:藤原審爾
脚本:長谷部慶次、今村昌平
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
美術:中村公彦
録音:神保小四郎
特機:金田啓治
振付:漆沢政子
記録:大平篤子
編集:丹治睦夫
音楽:黛敏郎
製作主任:山野井政則
助監督:遠藤三郎
方言指導:小梨勝彬、結城良熙
スチール:斎藤耕一
出演:春川ますみ、西村晃、露口茂、楠侑子、赤木蘭子、北林谷栄、北村和夫、小沢昭一、宮口精二、加藤嘉、近藤宏、北原文枝、殿山泰司
1964年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ150分35mmフィルム

赤い殺意
「赤い殺意」露口茂、春川ますみ
赤い殺意赤い殺意
赤い殺意

映画「やくざと抗争」


安藤昇                        菅原文太

今回は佐藤純彌監督1971年製作「やくざと抗争」をピックアップする。
本作は、新宿の盛り場を舞台に雑草の様に生き、”爆弾マッチ”と呼ばれ、最盛期には500人以上の構成員が在籍した安藤組の組長である安藤昇氏の自伝を基に本人が主演した作品である。1964年に安藤氏の意思で組は解散し、1965年に自らの自叙伝を映画化した「血と掟(松竹制作/湯浅浪男監督)」に主演し映画俳優へ転向した。本作は1967年に東映に移籍した後の作品である。


藤浩子                        渡瀬恒彦

【ストリー】
昭和初期、帝国陸軍が満州平野へ侵入した頃、新宿で通称爆弾マッチ(安藤昇)、舎弟分のオートンの勝(渡瀬恒彦)、フーテンの政(藤竜也)、小光(堀田真三)らの愚連隊が羽振りをきかせていた。ある日、過激左派党員の三人が銀行を襲い逮捕された。実はこの三人、政界の黒幕高橋(渡辺文雄)にそそのかされたのだが、過激左派党を壊滅せんと特別高等警察と高橋が仕組んだとは知らなかったのである。また、この事件で使用された拳銃が以前、マッチの所有していたものだと判明マッチは捕えられ、リンチを受ける。しかし証拠は得られず釈放となった。マッチには娼婦のお栄(藤浩子)という恋人がおり、足抜きをさせるのには300円がどうしても必要だった。ところが大木戸一家の賭場であり金取られてしまい、一計を案じたマッチ、オートン・フーテンたちは自分達で賭場を開くことにする。しかし、黙っている大木戸(天津敏)ではなかった。早速、代貸梅津(菅原文太)らを賭場へ指し向け、つぶしてしまった。怒り狂ったマッチは梅津目がけてドスで斬りかかるが、逆に片腕を斬られてしまう。梅津はその足で警察へ自首。数ヵ月後、梅津が出所、その放免祝いの席上に殴り込んだマッチだったが、傷が痛みだし、その場に倒れてしまう……。その後、マッチは命の恩人の梅津と義兄弟の契りをかわし大木戸のやっかいになった。第二回普通選挙。ある立会演説会場で、大木戸組の押す柏原(山岡徹也)と、無産者同盟の白木(近藤宏)が火花を散らす演説が行われていた。白木は以前、傷ついたマッチを看病したことがあり、お栄とも親しい間柄だった。突然、その白木の事務所に大木戸狙が殴り込み、丁度居合せたお栄を死なせてしまった。やがて白木が当選。マッチは白木の家で初めてお栄の死を聞かされる……。そこへ梅津が突び込み、白木を刺し殺し、自らもドスを腹に突き刺し死んでしまう。数日後、ある寺の本堂。祭壇に飾られている梅津の写真。大木戸組の面々が並び、高橋が厳かに弔辞を読み上げている。その高橋目がけて、マッチがドスを持って突進、崩折れる高橋。マッチは若い衆たちに押し包まれドスで突き刺されるが、最後の力をふりしぼって大木戸に飛びかかり、ドスを突き刺す。二人は重なりあって倒れた……。


近藤宏                       渡辺文雄

藤竜也                       天津敏

題名:やくざと抗争
監督:佐藤純彌
企画:俊藤浩滋、吉田達
原作:安藤昇「極道一代 やくざと抗争」
脚本:石松愛弘、佐藤純彌
撮影:稲田喜一
照明:大野忠三郎
録音:小松忠之
美術:北川弘
装置:根上徳一
装飾:米沢一弘
美粧:入江壮二
美容:宮島孝子
衣装:福崎精吾
擬斗:日尾孝司
記録:勝原繁子
編集:田中修
音楽:日暮雅信
現像:東映化学
進行主任:東一盛
助監督:橋本新一
演技事務:和田徹
スチール:加藤光男
出演:安藤昇、菅原文太、渡瀬恒彦、藤浩子、藤竜也、天津敏、渡辺文雄、山岡徹也、藤山浩二、武智豊子、室田日出男、近藤宏、堀田真三、小林稔侍、沢彰謙、森しげみ、土山登志幸、相馬剛三
1971年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
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室田日出男、菅原文太                  安藤昇

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