映画「マルタイの女」


宮本信子                       西村雅彦、宮本信子

今回は伊丹十三監督1997年製作「マルタイの女」をピックアップする。
“マルタイ”とは警察用語で身辺保護の対象者の事を言う。1992年の「ミンボーの女」の公開直後に伊丹監督が、暴力団の男たちに斬りつけられた事件が起きた際に、夫人である宮本信子さんと共に警察のマルタイになった。
その時の体験をモチーフに本作を制作したそうだ。
そして伊丹十三監督は、本作公開から3ヵ月後に不可解な死を遂げ、残念ながら本作が遺作となった。
警察は自殺で処理しているが、そんな筈はない。私は強烈なイメージと共に未だ納得できないでいる。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


宮本信子、村田雄浩                津川雅彦、宮本信子

【ストリー】
わがままで有名な女優の磯野ビワコ(宮本信子)は、ふとしたことから弁護士夫婦が殺害される現場を目撃してしまい、それに気づいた犯人に殺されそうになったが、危ういところで助けられた。逃走した犯人は殺された弁護士と対立していたカルト宗教集団真理の羊の一員らしく、警察の事情聴取を受けたビワコは、殺到したマスコミを相手に会見を行い、裁判で証言台に立つことを約束する。重要証人となったビワコの身を守るため、警察は彼女をマルタイと呼ばれる身辺保護対象者とし、立花(西村雅彦)と近松(村田雄浩)のふたりの刑事をガードに送り込んだ。ふたりの刑事はビワコのマンション、仕事場、小唄や踊りの稽古場はもちろん、移動中の車にも必ず片方が同乗し、ショッピングなどのプライベートにまでもぴったりと張り付いて彼女の身辺を保護する。彼らはあくまで私生活には干渉しないが、ビワコは愛人関係にあるテレビの編成局長・真行寺(津川雅彦)との不倫の現場にまでもついてこようとするふたりの刑事に、落ち着かない生活を強いられた。一方、ふたりの刑事の方も、昔からビワコのファンでミーハーぶりを隠せないでいる近松に対し、ひたすら職務を全うしようとする堅物の立花は、傍若無人なビワコの振る舞いにいらだちを覚える。しばらくして、教団幹部の命令で身を隠していた犯人の大木(高橋和也)が逮捕された。すぐに面通しが行われ、ビワコは記憶をたどりながら彼が犯人だと証言する。大木が犯行を自白し、ビワコの証言がより重要性を持つようになってくると、教団は顧問弁護士の二本松(江守徹)を通じてビワコに証言をやめさせるよう、なりふり構わぬ脅しを始めた。愛犬を殺された上、真行寺との不倫をマスコミにバラされたビワコは、精神的に大きなダメージを受け、証言をためらうようになってしまう。ふたりの刑事は勇気を持つようビワコを励ますが、スキャンダルが原因で舞台を降板させられた彼女は、舞台衣裳のまま楽屋から姿を消した。もともと彼女の想い出の場所であった目撃現場で教団の実行部隊に襲われたビワコは、駆け付けた立花に危ういところを救われる。さらにビワコを乗せて裁判所へ向かう途中の車を襲った教団に対しても、命がけで立ち向かっていく立花たちの姿に、ビワコはどんなことがあっても証言をするという覚悟を決めて、裁判所に入っていった。


六平直政、名古屋章               村田雄浩、西村雅彦、あき竹城

題名:マルタイの女
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
照明:加藤松作
特機:落合保雄
録音:小野寺修、桜井敬悟
音効:斉藤昌利、北田雅也 リーレコ:神保小四郎
美術:川口直次
装置:木村浩之
装飾:佐藤結樹 (ポハイアート)、大坂和美、中山誠、松田光畝、竹内洋平
衣裳:岩崎文男、熊谷友江
美粧:豊川京子、宮崎智子
擬斗:高瀬将嗣
配役:斉藤謙司
記録:松沢一美
編集:鈴木晄 ネガ編集:奥原好幸
音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:立川直樹、梶原浩史
現像:イマジカ タイミング:小椋俊一
撮影機材:三和映材社
照明機材:日本照明
フィルム:日本コダック
ステディカム:佐光朗
デジタル合成:島村達雄 (白組)、田口健太郎、牧野有美、金子敏雄、武坂耕二
特殊メイク:江川悦子、神田文裕、寺田まゆみ
スタント:高橋勝大、安多武士、山口富美雄、平田道、田辺秀輝
スタイリスト:鈴木智子、豊平ちせ
フードコーディネーター:石森いづみ
湯気師:谷口承
プロデューサー:川崎隆
製作主任:森太郎、毛利達也
製作進行:荒木正人、飯塚信弘
製作担当:鎌田賢一
演技事務:増田悟司、片野早苗
製作デスク、吉川次郎
製作宣伝:池田順子、小西晴文
企画協力:三谷幸喜、細越省吾
助監督:中嶋竹彦
監督助手:中村隆彦、山内健嗣、直路秀樹
撮影助手:石山稔、岩崎登、中澤正行、吉田好伸
特機助手:大谷慎司
照明助手:立石和彦、堀直之、疋田善健、関口賢、金子康博、関野高弘
録音助手:白取貢、松本昇和、矢沢仁
録音スタジオ・スタッフ:石井ますみ、大野誠、下野留之
美術助手:瀬下幸治、矢内京子、五十苅知子
編集助手:三條知生 デジタル編集助手:穂垣順之助
製作進行(セカンドユニット):前村祐子
助監督(セカンドユニット):蝶野博
撮影(セカンドユニット):藤澤順一、高瀬比呂志、猪本雅三、田中潤、上野彰吾
撮影助手(セカンドユニット):平康真二、中川克也、村埜茂樹、小松高志、中飯明央、佐藤治、葛西誉仁、向後光徳、西村博光、釘宮慎治、村木千春、鏡早智、井上隆夫、阿部孝
録音助手(セカンドユニット):藤本賢一、西山徹、前田一穂
撮影スタジオ:日活撮影所
録音スタジオ:日活スタジオセンター
グラフィック・デザイン:佐村憲一
出演:宮本信子、西村雅彦、村田雄浩、津川雅彦、江守徹、名古屋章、宝田明、あき竹城、高橋和也、六平直政、渡辺哲、小日向文世、高橋長英、木下ほうか、山本太郎、伊集院光、近藤芳正、三谷昇、仲谷昇、小林克也
1997年日本・伊丹プロダクション/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
マルタイの女 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


宮本信子                       マルタイの女

 追悼 伊丹十三監督

映画「三十路女はロマンチックな夢を見るか?」


「三十路女はロマンチックな夢を見るか?」武田梨奈

武田梨奈                        久保田悠来

今回は山岸謙太郎監督2018年製作「三十路女はロマンチックな夢を見るか?」最悪作品賞をピックアップする。
本作は、自主製作映像の監督である山岸謙太郎さんが作ったビデオドラマである。

内容は、自主製作映像の作者が、自らの才能に疑問を抱き、銀行強盗後の逃避行をビデオカメラで撮り、イチかバチかの捨て身の作品として撮影して行くが、巻き込まれた主人公の那奈(武田梨奈)が、実は警官だったという稚拙な筋立てである。何の感動も緊張感もなく、自己周辺の偏狭な世界観を押し売りする表現で、とても映画とは言い難い。特にフェード・インアウトの使い方には絶句した。

私が本作を観たのは、武田梨奈さんが出演しているからであり、つまらない内容より、彼女の表情、しぐさ、間の取り方などに注目した。有望な若手の女優さんとして期待している事に変わりはないが、脚本と監督に恵まれていないのは残念だと思う。良い作品と本物の映画監督に出会うまでは、撮影の場数を増やすのも経験になると思う。
頑張れ!武田梨奈さん!

【当ブログで紹介した武田梨奈さん主演作品】
2009年「ハイキック・ガール!
2011年「女忍 KUNOICHI
2013年「祖谷物語-おくのひと-
2015年「かぐらめ
2018年「三十路女はロマンチックな夢を見るか?


酒井美紀

【ストリー】
20代も残すところあと数日になった那奈(武田梨奈)は、恋人はおらず、仕事も単調で、夢もなくしていた。しかも親友の寿退社を社内の挨拶で知り、ショックを受ける。そんな中、部屋に突如銀行強盗の逃走犯3人が押し入ってきて、那奈は拘束されてしまう。しかし自分たちの犯行をビデオカメラで撮影する3人は、全然強盗らしくない様子。3人は拓人(久保田悠希)とその恋人・麗良(佐生雪)、そして拓人の元彼女である葵(酒井美紀)で、麗良と葵の間には気まずい雰囲気が流れていた。強盗団との逃亡劇という非日常に突如巻き込まれた那奈の運命は……?!


武田梨奈

題名:三十路女はロマンチックな夢を見るか?
監督:山岸謙太郎
脚本:上原三由樹、山岸謙太郎
撮影:手嶋悠貴
照明:浅見貴宏
録音:弥栄裕樹
美術:岡田匡未
装飾:湊博之
美粧:高橋亮
合成:山岸謙太郎、高橋丈三郎
配役:北田希利子
衣装:加藤佑里恵
音楽:小林直幸 主題歌:JULIET
撮影レンズ:ZEISS Cinema Zoom Lenses
制作担当:星孝行
製作主任:松沢連
製作進行:虫狩槍司、井出和樹
助監督:岡元太
プロデューサー:前田和紀、木俣誠、上野境介
エグゼクティブプロデューサー:翔治陽人
ラインプロデューサー:酒井明
出演:武田梨奈、久保田悠来、酒井美紀、佐生雪、山村美智、秋吉織栄、春花、近藤芳正、鎌田秀勝、富田翔、渡部龍平
2017年日本・キャンター/シネスコサイズ・カラー91分デジタルシネマ
三十路女はロマンチックな夢を見るか? -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三十路女はロマンチックな夢を見るか?

「三十路女はロマンチックな夢を見るか?」武田梨奈

映画「紙の月」

紙の月
宮沢りえ
紙の月紙の月
宮沢りえ                       小林聡美

今回は吉田大八監督2014年製作「紙の月」をピックアップする。
本作は、2014年1月27日に東京でクランクインし、神戸市の旧居留地や神戸市営地下鉄、実際のラブホテルでも撮影されたそうだ。銀行の撮影には茨城県水戸市の中核施設・オハナコートの一画にある旧常陽銀行双葉台出張所が使われている。私は、宮沢りえさんの卓越した演技に驚かされ、ベテラン俳優の小林聡美さん、石橋蓮司さん、近藤芳正さん、田辺誠一さんなど脇を固める布陣も凄かった。また女優に一本立ちした大島優子さんの自然な芝居が良かった。私は、ラストまでは全てがバランス良く出来た作品だと思ったが、梨花(宮沢りえさん)が窓を破ってからのラストシーンで興ざめた。台無しだ。何も警察に捕まる様なくだりはいらないが、もっと別の結末があった筈だと思う。

紙の月紙の月
石橋蓮司

【ストリー】
1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。
やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた……。

紙の月紙の月
大島優子

題名:紙の月
監督:吉田大八
製作総指揮:大角正、高橋敏弘、安藤親広
製作:石田聡子、池田史嗣、明石直弓
原作:角田光代
脚本:早船歌江子
撮影:シグママコト
照明:西尾慶太
録音:加来昭彦
整音:矢野正人
美術:安宅紀史
衣裳:小川久美子
編集:佐藤崇
音楽:Little moa、小野雄紀、山口龍夫 音楽プロデューサー:緑川徹
主題曲・主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ
助監督:甲斐聖太郎
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、佐々木勝彦、石橋蓮司、中原ひとみ、天光眞弓、伊勢志摩、平祐奈
2014年日本・ロボット/シネスコサイズ・カラー126分デジタルシネマ
紙の月 DVD
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

紙の月紙の月
平祐奈                        宮沢りえ