映画「悲愁物語」


原田芳雄                             白木葉子

今回は鈴木清順監督1977年製作「悲愁物語」をピックアップする。
鈴木清順監督が日活との訴訟の為に10年ぶりに制作した本作は、梶原一騎氏の原作を大和屋竺氏が脚色した。
2018年10月に惜しくも急逝した江波杏子さんの怪演が素晴らしい作品である。

【三協映画】
「巨人の星」「あしたのジョー」に代表されるスポ根漫画の原作者として知られる梶原一騎氏は映画『愛と誠(1976年)』の成功によって自身の興行的または文芸的欲望を満たすものとして映画製作会社を設立する。テレビアニメ黎明期より東京ムービーを立ち上げ、梶原一騎原作漫画の「巨人の星」や「あしたのジョー」といったアニメを手がけた藤岡豊氏。そして日活から石原プロモーションの映画のプロデューサーとなり、TV版「愛と誠」を手掛けた川野泰彦氏。異なる三つの世界の製作者が”三人で協力する”ものして命名されたのが”三協映画”であり、映画については、1976年公開の「愛と誠・完結篇」から「紅蓮華」1981年公開の「リトルチャンピオン」までに11作品を制作した。
(ウィキペディア参照)


「悲愁物語」江波杏子

岡田眞澄                                佐野周二

【ストリー】
女子体操競技で世界中を熱狂させたチェブルスカをライバル社の極東レーヨンにさらわれた日栄レーヨン社長の井上(仲谷昇)は、対抗馬のタレント発見を急ぐよう命令する。企画室長の森(玉川伊佐男)や広告代理店の田所(岡田眞澄)は、若くてプロポーション抜群のプロゴルファー・桜庭れい子(白木葉子)の起用を決定。れい子をまずなんと言っても、女子プロゴルフ界のチャンピオンにしなければと、雑誌「パワーゴルフ」の編集長でれい子の恋人でもある三宅(原田芳雄)に特訓をたのむ。れい子のハード・トレーニングが昼夜続き、れい子はその特訓に耐え、全日本女子プロゴルフ選手権に優勝。れい子の人気は、爆発し、日栄レーヨンのポスターは店頭からまたたくまになくなった。れい子は、日栄レーヨンと専属タレント契約を結び、3,000万円を手にする。れい子は、弟・純(水野哲)といっしょに郊外に大邸宅を構え、テレビのホステスにも起用された。しかし、れい子の家の近所の主婦たちの憧れは、しだいにドス黒い嫉妬へと変っていった。多忙なれい子の唯一の心のやすらぎは、三宅の胸に抱かれている時だけであった。そんなある日、三宅とれい子の乗った車に近所の主婦、仙波加世(江波杏子)ははねられてしまった。実は、れい子に嫉妬した加世が自分から車に飛び込んだのだが、二人はそうとは知らずその場を逃げてしまった。罪の意識におののくれい子の前に加世が現れ、彼女は大スターであるれい子の弱味をにぎったせいか、それ以来、れい子をメイドのように酷使した。あろうことかそのうえ、加世はれい子に自分の亭主(小池朝雄)に抱かれることを命じた。それを知ったれい子の弟・純の怒りが爆発した。純のナイフが、加世の背中から胸を貫いた。そして、寝室にとびこんだ純は、血まみれのナイフをれい子の乳房に突き刺した。れい子の美しい死顔には、何故かやすらぎが漂っていた。


「悲愁物語」白木葉子

「悲愁物語」白木葉子

江波杏子、左時枝、千代恵            原田芳雄、小池朝雄

宍戸錠                          仲谷昇

野呂圭介                        江波杏子

題名:悲愁物語
監督:鈴木清順
製作:梶原一騎、藤岡豊、川野泰彦、浅田健三、野村芳樹
原案:梶原一騎
脚本:大和屋竺
撮影:森勝
照明:小林秀之
録音:大橋鉄矢
美術:菊川芳江
配役:西岡昭
記録:津田のり子
編集:鈴木晄
音楽:三保敬太郎、主題歌:とみたいちろう「戻っておくれ」
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作補佐:島田十九八
製作担当:秋田一郎
製作宣伝:東京プランニング
助監督:斉藤信幸
色彩計測:田村輝行
スチール:大輪真之
出演:原田芳雄、白木葉子、江波杏子、佐野周二、岡田眞澄、和田浩治、仲谷昇、小池朝雄、玉川伊佐男、左時枝、千代恵、葦原邦子、野呂圭介、水野哲、石井くに子、宍戸錠
1977年日本・三協映画+松竹/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
悲愁物語 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


江波杏子、原田芳雄                         悲愁物語

映画「嵐を呼ぶ友情」

嵐を呼ぶ友情嵐を呼ぶ友情
小林旭                      川地民夫、沢本忠雄

今回は井上梅次監督1958年製作「嵐を呼ぶ友情」をピックアップする。
本作は「嵐を呼ぶ男」の姉妹篇として製作したジャズの世界を背景とした友情物語だ。
内容はたいした嵐は吹かない凡作だが、名優宇野重吉さんのジャズメン役は貴重である。

【追記・訃報】
日活のアクション映画や、故菅原文太さんと共演した東映「まむしの兄弟」シリーズなどで活躍した俳優の川地民夫(かわち・たみお、本名河地猛=かわち・たけし)さんが2018年2月10日に神奈川県横須賀市の病院で死去した。逗子の家の隣に住んでいた石原裕次郎さんの勧めもあって大学1年生の時に日活に入社。1958年に映画「陽のあたる坂道」で裕次郎さんの弟役でデビューした。その後、小林旭、沢本忠雄との「三悪トリオ」として売り出した。当時の日活では裕次郎さんの“タフガイ”、二谷英明さんの“ダンプガイ”など“ガイ”が付くとスターの証となったため、「“僕たちは何ガイ?と聞きに行ったら“問題ガイ”だって」とテリー伊藤との雑誌の対談で明かしていた。日活退社後は文太さんとのコンビで「まむしの兄弟」シリーズ9作に出演。他にも時代劇や2時間ドラマにも数多く出演し、昨年もフジテレビ「トクチョウの女~国税局特別調査部~」で元気な姿を見せていた。(スポニチアネックス2018年2月12日配信)

嵐を呼ぶ友情嵐を呼ぶ友情
川地民夫、宇野重吉                  浅丘ルリ子

【ストリー】
ジャズ喫茶・ジャズボートは、岡辺(沢本忠雄)、川添(川地民夫)二人のトランペットが人気をよび大入り満員であった。この二人はかつての名トランペッター旗(宇野重吉)から文字通り初歩からトランペットを叩きこまれた。その旗もどういうわけか世をすねて、場末で淋しくペットを吹いていた。この老いたる楽士の心の慰めは師匠思いの岡辺・川添と、旗と一緒に暮している千秋(浅丘ルリ子)だった。そうしたある日、金馬車の踊り子マリ子(白木マリ)の楽屋で、二人は“流しの旭”と呼ばれるやくざ風の男と喧嘩したが、その後、旗の口から“流しの旭”はわしの息子稔(小林旭)だと聞かされて驚いた。また、千秋がその許婚だと教えられ、千秋を愛していた二人はがっかりする。しかし師匠思いの二人は、マリ子のアパートへ稔の住所を聞きに行った。意外にも稔はマリ子と同棲していた。千秋のために奮然とした二人は稔と大喧嘩をはじめるが、二人とものされてしまう。が余りにも師匠思いの二人だけに、稔は誰にもしゃべった事のない話をうちあげた。「日本一と云われた親父に後継者として俺はペットを教え込まれた。しかし音楽教師の亘氏(神山勝)から小さい時の肋膜が災し、肺活量がない事を聞かされ俺は愕然とした。打ち明けるには、あんまり親父の期待が大きかった。亘氏が突然死ぬと、親父が俺の教育にのりだしてきた。俺をこんなに苦しめる親父が憎かった。親父も自分の夢と離れてしまった俺が憎かったんだろう。そしてこのザマよ……」稔の心情を知った二人は三人で楽団をやろうと加入を進めたが、今さら楽隊に未練はないと稔は断った。初めて稔の過去を知りマリ子は泣いた。そして夜などはそっと作曲の勉強などをしている稔を知っているマリ子は、稔が更生するにはあの二人に縋るより外にないと決心、涙をのんで稔に愛想づかしをするのだった。捨てられたと思い込んだ稔は岡辺と川添のもとに走った。二人の友情あるリードによってジャズギターを弾く才能を発揮し、血のにじむような修練に栄光がきざし始めた。「新たに旗稔を加えてフレンドシップ・オブ・ジャズを結成」と新聞の芸能欄は大々的に発表、評論家、観衆もこの嵐を呼ぶ友情の誕生に声援を送った。新バンドの発表会、ペットとギターの競演に万雷の拍手は止まない。ホールの片隅で涙をぬぐって成功を喜ぶマリ子の姿、旗の顔も、稔の瞳も、誰の頬にも幾筋の涙が光っていた。

嵐を呼ぶ友情嵐を呼ぶ友情
白木マリ                 沢本忠雄、宇野重吉、小林旭、川地民夫

題名:嵐を呼ぶ友情
監督:井上梅次
企画:児井英生
脚本:井上梅次
撮影:高村倉太郎
照明:大西美津男
録音:福島信雅
美術:中村公彦
記録:新関良子
編集:鈴木晄
音楽:河辺公一、大森盛太郎
現像:東洋現像所
製作主任:笹井英男
助監督:前田満州夫
出演:小林旭、川地民夫、沢本忠雄、浅丘ルリ子、宇野重吉、白木マリ、金子信雄、野呂圭介、広岡三栄子、浜村美智子、神山勝
1958年日本・日活/シネスコサイズ・カラー95分35mmフィルム
2017年8月現在、DVD販売・レンタルはありません。

嵐を呼ぶ友情嵐を呼ぶ友情
嵐を呼ぶ友情

嵐を呼ぶ友情
嵐を呼ぶ友情
1958年(昭和33年)の銀座

映画「黒い賭博師」

黒い賭博師
冨士眞奈美
黒い賭博師黒い賭博師
小林旭                     小林旭、冨士眞奈美

今回は中平康監督1965年製作「黒い賭博師」をピックアップする。
東映のリアルな賭博ものと違いおしゃれな娯楽作品になっている本作はシリーズ化され、小林旭さん主演で「黒い賭博師・ダイスで殺せ(1965年監督:江崎実生)」「黒い賭博師・悪魔の左手(1966年監督:中平康)」が製作された。私は本作の冨士眞奈美さんが美しいのに衝撃を受けた。

黒い賭博師黒い賭博師
小林旭、横山道代                 高橋昌也、冨士眞奈美

【ストリー】
東京に舞いもどった氷室浩次(小林旭)は、以前、氷室が色々世話になったバー“トト”のママ時子(横山道代)のところに身を奇せていた。そんな時、スベニア王国大使館でレセプションが開かれ、氷室も招待客の一人として参加した。ところがこの催しは、レセプションとは名だけで、高倉商事社長、高倉(玉川伊佐男)やその子分でカード師の異名をもつ犬丸(小池朝雄)、その愛人玲子(冨士眞奈美)らが加わった大賭博会であった。氷室と犬丸の勝負は氷室の一方的な勝利に終った。その後、氷室の後を玲子が影のようにつきまとうようになった。そんなある日氷室は、賭けに負け国際賭博団マルコムの団員楊に狙われている女ニーナ(シェーリー・ヘレン)を助け、その場で楊に復讐戦を挑んだ。しかし氷室は楊のイカサマを見破れず敗れた。それ以来氷室は、楊(高橋昌也)との再戦を誓って資金集めに賭場を渡り歩く一方、相棒一六に楊の身辺を洗わせた。だが数日後、昔なじみの花田刑事が一六の死を知らせてきた。その夜氷室は再び楊と対決し、見事にイカサマを見破ったその足で氷室はニーナのホテルに向い、楊からとりかえした金を渡した。が、意外にも氷室はニーナがマルコムの情婦であり、さらに横浜に着く国際観光団にマルコムの団員がまぎれこみホテルで大賭博が催されることを知った。だが氷室を恐れる犬丸は、氷室を襲い、彼の左手を痛めつけた。当日氷室は傷ついた左手をかかえて賭場にのりこみ、見事な腕の冴えを見せた。マルコムは氷室たちを始末しようとするが、そこに花田刑事(谷村昌彦)が乗り込んできたことによりなんとかマルコムたちを撃退する。警察に連行されるマルコムたち。が、その警察は実はマルコム団の変装だったのだ。氷室は東京を離れまたあてどない旅に出ていくのだった。

黒い賭博師黒い賭博師
小池朝雄                     小林旭、冨士眞奈美

題名:黒い賭博師
監督:中平康
企画:児井英生
原作:野村敏雄
脚本:小川英、中西隆三
撮影:山崎善弘
照明:高島正博
録音:古山恒夫
美術:大鶴泰弘
特技:金田啓治
記録:堀北昌子
編集:辻井正則
音楽:伊部晴美
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正利
助監督:村田啓三
色彩計測:金田啓治
スチール:浅石靖
出演:小林旭、冨士眞奈美、横山道代、小池朝雄、高橋昌也、野呂圭介、益田喜頓、谷村昌彦、榎木兵衛、柳瀬志郎、玉川伊佐男、シェーリー・ヘレン
1965年日本・日活/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
黒い賭博師-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

黒い賭博師黒い賭博師
小林旭、野呂圭介、益田喜頓、谷村昌彦、冨士眞奈美

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