映画「赤い蕾と白い花」


吉永小百合

吉永小百合                     浜田光夫

今回は西河克己監督1962年製作「赤い蕾と白い花」をピックアップする。
本作は、石坂洋次郎氏の原作「寒い朝」を映画化したもので、1959年に松竹製作で「若い素顔(監督:大庭秀雄/主演:桑野みゆき)」に続いて2度目の映画化となるが、高峰三枝子さんが、同じ岩淵真知子役で演じている。本作のロケは、東京都大田区田園調布、羽田空港、世田谷区二子玉川などで行っている。


高峰三枝子                     金子信雄

【ストリー】
三輪重夫(浜田光夫)と岩淵とみ子(吉永小百合)は高校三年仲の良いクラスメイトである。重夫は小さい時に母親を亡くし、とみ子は父親を亡くして母親に育てられた。似たような境遇が、二人を一層親密にさせた。彼等には片親の子にあり勝ちな暗い影はみじんもなかった。或る日、とみ子の母親真知子(高峰三枝子)が風邪をひいて寝こんだ。とみ子は三輪医院に電話した。それから毎日、重夫の父貞一(金子信雄)が真知子の診察に来た。重夫ととみ子は、父と母がそれぞれ仲良くつきあっていけるようにいろいろと気を使った。そんな頃、とみ子の祖母おかね(北林谷栄)が上京して来た。真知子は貞一と語らっておかねを羽田空港へ連れてゆき、遊覧飛行機に乗せた。その時、真知子が捻挫したため、貞一が彼女を抱いているところを、真知子が校長をしているドレス・センターの生徒達が写真に撮った。その写真は家に送られて来た。ちょうど、重夫ととみ子が試験勉強をしている時だったので、とみ子はその写真をみた。スカートから白い足を露わに貞一に抱かれている写真なのでとみ子は、「汚らしいわ!」と言うと泣き出した。とみ子は親たちへのレジスタンスのために家出を決意した。重夫も不承不承同意した。重夫は、とみ子一人に家出させるのは危険と思ったのだ。真知子は二人の書き置きをみて仰天した。真知子は早速貞一の家にかけつけた。ちょうど、そこに旅館“柳家”のお内儀(武智豊子)から電話がかかってきた。お内儀が三輪医院の患者で、偶然重夫の顔を見知っていたのであった。貞一と真知子がかつけると、二人は一室で寝ていた。部屋の隅と隅にフトンが敷かれ、真中には机が置かれてあった。安心した貞一と真知子も“柳家”で一泊することにした。翌朝、重夫、とみ子の二人は旅館に近い堤防で自然に抱きあうのだった。


武智豊子                       北林谷栄

金子信雄                       左卜全

題名:赤い蕾と白い花
監督:西河克己
企画:坂上静翁
原作:石坂洋次郎「寒い朝」
脚本:池田一朗
撮影:岩佐一泉
照明:安藤真之助
録音:中村敏夫
美術:佐谷三平
記録:新関良子
編集:鈴木暁
音楽:池田正義
現像:東洋現像所
製作主任:二反田実
助監督:白鳥信一
色彩計測:小栗準之助
スチール:斎藤誠一
出演:吉永小百合、浜田光夫、高峰三枝子、金子信雄、北林谷栄、左卜全、武智豊子
1962年日本・日活/シネスコサイズ・カラー80分35mmフィルム
赤い蕾と白い花 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


高峰三枝子、金子信雄              吉永小百合、浜田光夫

映画「実録三億円事件 時効成立」


小川真由美                        岡田裕介

今回は石井輝男監督1975年製作「実録三億円事件 時効成立」をピックアップする。
1968年12月10日、昭和を揺るがした三億円事件は、東京都府中市で発生し、未だに真相は闇の中である。
本作は “三億円事件”をヒントに架空の犯人像を想定して制作されたが、東映は警察とは別の ”捜査隊” を組織、莫大な資料を集め事件に関わる多くの人物を緻密に描いた意欲作である。犯行現場である府中刑務所裏での撮影は、1975年11月に第六監視塔前で行われたそうだ。主演の岡田裕介さんは、1970年代には俳優をしていたが、父が岡田茂元東映社長である事もあり、プロデューサーに転向し、2002年に東映社長を経て東映代表取締役グループ会長になっている。


金子信雄                         絵沢萠子

【ストリー】
博奕好きで、女にだらしない西原房夫(岡田裕介)は証券会社の運転手をしていたが、会社の金400万円を横領し、競馬につぎ込んでしまった。だが、横領が会社にバレて警察に突き出されるところを、情婦の向田孝子(小川真由美)がダイヤの指輪と土地を売り、金を返済してくれたので、刑務所行きはまぬがれた。その後、二人は同棲生活を送るが、借金に追われる苦しい状態が続いた。1968年7月、多摩農協に再三の脅迫状が舞い込んでいた。送り主は西原である。この脅迫状は警察をあざむくためのカモフラージュで、彼は1968年12月から三億円強奪の準備を始めていた。そんなある日、西原の態度に不審を覚えた孝子は、彼から日本信託銀行国分寺支店から東芝工場に輸送される3億円の強奪計画を聞かされた。月賦屋に追われる生活に嫌気がさしていた孝子は、西原と行動を共にする決心をした。西原は準備資金にするために、金持ちの未亡人・久住みどり(絵沢萠子)を誘惑し、100万円騙し取った。8月12日、西原はトランジスターメガホンを盗んで以来、白バイ警官衣装等の獲得準備をすすめ、ヤマハスポーツ350RI、1966年型カローラ、1968年型カローラ等を、次々に盗み、12月9日、全ての準備を完了した。1968年12月10日。午前6時に、西原と孝子は日野の自宅を出発。9時21分、府中刑務所裏にさしかかった現金輸送車である黒のセドリックを停止させた西原は、車内に爆弾が仕掛けられていると偽りセドリックに乗って逃亡。そして、国分寺・七重の塔跡で待つ、第2のカローラにジュラルミンのトランクを移し、孝子の運転で山梨県大月市にある西原家の墓地へと向った。途中、ラジオで500円札には通しナンバーがひかえてある、との報道で、500円札は全て処分、残金を墓の下に隠した。その後、西原と孝子は金には手をつけず、以前と全く変りない生活を送っていった。一方、警察の捜査網は拡大していくばかりだったが、葛木刑事(金子信雄)は、その経験とカンで不良退職者のリストを地道に洗っていた。その中に、西原の名も上っていた。1975年9月、西原は府中駅前広場で、久住みどりと会い、100万円を返さなければ警察に訴えると脅される。時効成立間近になって動揺した西原は、金を引き出すべく山梨の墓地に向った。そこには西原の態度に気づいた孝子がいた。西原から事情を聞いた孝子は100万円使うなら全部使うのも同じ、と金を掘り出した。時効まであと40日。葛木刑事は、府中競馬場で、西原がイギリスの名馬ペガサスを2億1,000万円を出資して輸入する、という話を耳にした。葛木は西原に目をつけた。400万円横領事件、住居が日野にある……。時効10日前。西原が他人名儀で所有するマンションがガス爆発を起こした。西原を犯人と断定した葛木は、ガス事故の件を利用して、西原を別件逮捕した。取調べ室で、葛木に訊問される西原だが、黙杏権で何も答えない。時効を数日後にひかえている葛木は、西原の家で500円札を焼いた残りが発見されたとか、ペガサスが死んだとか執拗な訊問を行ない、ついに西原は精神的に衰弱し倒れてしまった。しかし、彼は医務室のベッドの中で「黙否権でいけば絶対に助かる」と言った孝子の言葉を反芻していた。そして、12月10日、西原は証拠不充分でついに釈放された……。


田中邦衛                     実録三億円事件 時効成立

題名:実録三億円事件 時効成立
監督:石井輝男
企画:太田浩児、坂上順
原作:清水一行「時効成立」
脚本:小野竜之助、石井輝男
撮影:出先哲也
照明:川崎保之丞
録音:広上益弘
美術:藤田博
装置:小早川一
装飾:田島俊英
美粧:住吉久良蔵
美容:石川靖江
衣装:河合啓一
記録:勝原繁子
編集:祖田富美夫
音楽:鏑木創
現像:東映化学
進行主任:東一盛
助監督:福湯通夫
演技事務:山田光男
スチール:遠藤努
出演:小川真由美、岡田裕介、金子信雄、田中邦衛、絵沢萠子、浜田ゆう子、田中筆子、松平純子、中田博久、相馬剛三、滝沢双、、田島義文、近藤宏、河合絃司、山田光一、山下則夫、木村修、土山登士幸、横山繁、亀山達也、岡本八郎、山本緑、宗田千枝子、岡久子、松井紀美江、津森正夫、南廣、沢田浩二、清水照夫
1975年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
実録三億円事件 時効成立 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


実録三億円事件 時効成立              小川真由美、岡田裕介

映画「野獣の青春」

野獣の青春野獣の青春
宍戸錠                         渡辺美佐子

今回は鈴木清順監督1963年製作「野獣の青春」をピックアップする。
本作は大藪春彦氏の「人狩り」を映画化したものだが、清順ワールドに置き換えられた作品になっている。カット割りと編集のテンポ、美術セットが良く、鈍調な流れはなく展開する。この時代にこの新鮮な感覚に感激する。

【追記・訃報】
「エースのジョー」の愛称で親しまれ、アクションスターとして日活の黄金期を支えた俳優の宍戸錠(ししど・じょう、本名同じ)さんが2019年1月21日に死去した。86歳。大阪市生まれ。関係者によると、都内の自宅で倒れていたという。あくの強さを出すため豊頬(ほうきょう)手術を受け、膨らんだ頬がトレードマークだった。日大芸術学部在学中の1954年、日活の第1期ニューフェイスに合格。翌55年に「警察日記」で本格デビューし、二枚目スターとして売り出されたが、自ら進んで豊頬手術を受け、敵役として活路を開いた。小林旭主演の「渡り鳥」「流れ者」シリーズや故赤木圭一郎さん主演の「拳銃無頼帖」シリーズに敵役として登場。時に主役を食う人気を博した。70年代になるとテレビにも進出し、「巨泉×前武のゲバゲバ90分」「カリキュラマシーン」「元祖どっきりカメラ」などのバラエティーにも出演。1982~83年にはフジテレビ系「くいしん坊!万才」にレポーターとして出演し、長男で俳優の宍戸開ものちにレポーターを務めた。10年4月に元女優でエッセイストの宍戸游子(ゆうこ)さんががんのため77歳で死去。2013年2月には東京・世田谷区上祖師谷の自宅が全焼する被害に遭うなど、晩年は悲しい出来事が続いた。
最終更新:2020/1/21(火) 16:45 スポニチアネックス

野獣の青春野獣の青春
香月美奈子                       郷鍈治

【ストリー】
連れ込み宿で男と女が死んでいた。男は竹下公一(木島一郎)、現職の刑事だった。数日後、盛り場のチンピラたちをやっつけてまわるカッコいい風来坊が現われた。たちまちジョー(宍戸錠)というその男は野本組の用心棒におさまりのし歩いたから、野本組と睨み合っている三光組の小野寺(信欣三)や武智(郷鍈治)をひどく刺激した。野本組には麻薬につながるコールガールの大がかりな組織があり、それを操る謎の支配者がいるらしい。竹下の四十九日の法事の日、ジョーが未亡人のくみ子(渡辺美佐子)に挨拶しているのを刑事の広川(鈴木瑞穂)は見た。ジョーはもと刑事、ふとしたことから免官されグレてしまったのをなにくれとなくかばったのが同僚竹下だった。その夜、いつものように野本(小林昭二)らと麻薬商柴田(平田大三郎)との取引きがあった。帰途、柴田は武智に売上げの一千万円を強奪された。柴田が刑事時代のジョーを思い出し、たちまちとりおさえられたジョーはむごい拷問に苦しみうめいた。ジョーが三光組に秘密を教えてやったとドロを吐いたから、逆上した野本は武智を射殺させた。すぐに三光組が逆襲して来て凄絶な射ち合いとなった。乾分たちが次々と倒れ、野本の一弾は小野寺の胸を貫いた。血まみれの小野寺は爆弾を積んだ自動車で野本組の真中へ突っ込んだ。建物が人が一瞬のうちに吹っ飛び、硝煙がうすれると動いたのはジョーと野本だ。「竹下を殺ったのは誰だ」野本をしめあげたジョーは絶叫した。息もたえだえの野本の口からもれたのは意外にもくみ子。野本の情婦だった彼女は警察の逆スパイとなって竹下と結婚し、コールガールを牛耳っていた。それがバレそうになったので、麻薬中毒のコールガールと竹下を無理心中させたのだ。竹下の家にのりこんだジョーの眼ははげしい憎悪に燃えていた。

郷鍈治野獣の青春
江角英明                         信欣三
野獣の青春野獣の青春
川地民夫                        金子信雄

題名:野獣の青春
監督:鈴木清順
企画:久保圭之介
原作:大藪春彦「人狩り」
脚本:池田一朗、山崎忠昭
撮影:永塚一栄
照明:大西美津男
特技:金田啓治
録音:中村敏夫
美術:横尾嘉良
擬斗:高瀬将敏
編集:鈴木晄
音楽:奥村一
現像:東洋現像所
製作主任:武藤良夫
助監督:渡辺昇
色彩計測:上田利男 (撮影チーフ助手)
スチール:斎藤誠一
出演:宍戸錠、渡辺美佐子、川地民夫、香月美奈子、江角英明、平田大三郎、郷鍈治、上野山功一、小林昭二、信欣三、金子信雄、鈴木瑞穂、清水将夫、木島一郎
1963年日本・日活/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
野獣の青春 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

野獣の青春野獣の青春
小林昭二                        宍戸錠、鈴木瑞穂
野獣の青春野獣の青春
宍戸錠、鈴木瑞穂                  野獣の青春

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