映画「十八歳、海へ」


森下愛子                                  永島敏行

今回は藤田敏八監督1979年製作「十八歳、海へ」をピックアップする。
本作は中上健次氏の原作「十八歳、海へ」より「隆男と美津子」の章を映画化したもので、内容は1970年終焉を背景に青春の苛立ちと倦怠を “自殺ゲーム“ に獲り憑かれた予備校生男女の末路を描いたものだ。撮影は1979年6月27日にクランクインし8月3日にアップしたそうだ。


小林薫                                  島村佳江

【ストリー】
森本英介(小林薫)は、5年間も東京で浪人暮しをしており、郷里で病院を経営する父(鈴木瑞穂)とは、裏口入学のことでモメて以来、音信がない。ある夜、鎌倉で、英介は暴走族のリーダー(深水三章)と喧嘩になり、海に潜って、先に顔を上げた方が敗けという勝負をした。翌日、英介は予備校で有島佳(森下愛子)という女の子に声をかけられる。彼女は昨夜の一部始終を見ており、一緒にいた桑田敦夫(永島敏行)と、英介の真似をして、心中と間違えられたという。いきなり話しかけられてとまどう英介は、ホテルのボーイをしながら予備校に通っていることを彼女に話す。佳は、この夏、釧路から夏期講習を受けるために上京し、姉・悠(島村佳江)のところに居候していた。桑田は同じ予備校に通う二浪の男だ。ところで、佳は心中ごっこのとき、死と隣り合わせの瞬間に、このうえもない喜悦を感じたことで英介に興味を持ったのだ。そして、佳と桑田は英介のバイトするホテルで心中未遂を起こしてしまう。二人の収容されている病院に見舞いに行った英介は、そこで、佳の姉の悠と出会う。悠は小学校の給食をつくる仕事をしている。暫くして、悠は、ホテルの一件以来、自分のところから離れていた佳に、ロタ島行きのキップを渡してくれと英介に話す。それは、桑田から佳を離そうとする悠の心づかいだった。しかし、佳はキップを受け取ろうとせず、英介は悠と一緒にロタ島に行った。二人は旅を満喫する。旅から帰り、ホテルでバイトをしていた英介は、学会で上京していた父(鈴木瑞穂)と出会った。父は学会の開かれる箱根のホテルで話し合おうと話すが、英介は憎しみしか覚えなかった。その頃、経済的に行きづまった佳と桑田が、英介に助けを求めてきた。英介は、二人を父の名で、箱根のホテルに泊まらせることにした。翌日、英介は箱根の警察から連絡を受けた。箱根のホテルにいた佳と桑田の死の知らせであった。心中ごっこが本当の心中になるとは……。鋭い衝撃が英介を襲った。夏の終り、鎌倉の海に英介と悠の姿があった。二人は佳と桑田の行為を語りながら、自分たちが、別々の道を歩みはじめたことを感じていた。そして今、英介は自分のとまどいの季節が終ったことを意識しながら……。


小沢栄太郎、永島敏行、森下愛子                鈴木瑞穂、小林薫

題名:十八歳、海へ
監督:藤田敏八
企画:進藤貴美男
製作:佐々木志郎、結城良煕
原作:中上健次 「十八歳、海へ」より「隆男と美津子」の章
脚本:田村孟、渡辺千明
撮影:安藤庄平
照明:新川真
録音:高橋三郎
美術:徳田博
編集:井上治
音楽:チト河内 主題曲:ゴダイゴ 唄:加橋かつみ
現像:東洋現像所
製作担当:岩見良二
助監督:上垣保郎
色彩計測:杉本一海
スチール:井本俊康
出演:森下愛子、永島敏行、島村佳江、小林薫、鈴木瑞穂、小沢栄太郎、深水三章、下絛アトム、小松方正、堀永子、小中陽太郎
1979年日本・日活/シネスコサイズ・カラー110分35mmフィルム
十八歳、海へ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


森下愛子、永島敏行                        小林薫、島村佳江

映画「黒部の太陽」


「黒部の太陽」三船敏郎

三船敏郎                                                   石原裕次郎

今回は熊井啓監督1968年公開「黒部の太陽」をピックアップする。
本作は、1962年に日活から独立し石原プロモーションを設立した石原裕次郎さんと1964年に東宝から独立し三船プロダクションを設立した三船敏郎さんの独立プロ二社の共同制作と劇団民藝の全面協力を得て1年以上の撮影期間を経て作られた。
電力会社やその下請け・関連企業に大量のチケットを購入して貰い観客動員に成功し、1968年の日本映画配給収入第1位(約16億円)、観客動員数は約730万人を獲得したそうだ。また本作の版権は石原プロモーションが所有し、石原裕次郎さんの遺言「映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」で永らくビデオ化されていなかった。
(石原プロモーション創立50周年の2013年3月にDVD、Blu-ray版が発売)


「黒部の太陽」石原裕次郎

樫山文枝                                                                高峰三枝子

三船敏郎、日色ともゑ                                           宇野重吉、寺尾聰

【ストリー】
関西電力は黒部川上流に第四発電所を建設するため、太田垣社長(滝沢修)総指揮のもとに社運をかけて黒四ダム工事に当たることになった。間組の国木田(加藤武)と熊谷組の下請会社の岩岡源三(辰巳柳太郎)は、ともに現場責任者の北川(三船敏郎)を訪れ、ダム工事の難しさを知らされた。源三の息子剛(石原裕次郎)は、トンネル掘りのためにどんな犠牲も省りみない源三に反抗し、家を出て設計技師として図面をひいていた。国木田はそんな剛と、北川の長女由紀(樫山文枝)と見合いさせようと提案して、源三を驚かした。昭和31年8月、世紀の大工事といわれた黒四工事は、大自然との闘いの火蓋を切った。9月に入って剛は偶然、由紀と会い、親しさを増していったが、彼女が父の北川の身を心配するのを見て、源三の様子を見に黒部に向った。源三はめっきりと体が弱くなっていた。北川の黒四にかける熱意にほだされた剛は父に代ってトンネル掘りの指揮をとることになった。こうして工事が始って半年、犠牲者はすでに16人を数え、難工事であることが現場の人たちに不安を抱かせ始めた。翌年の4月、北川たちが恐れていた事態が起った。軟弱な花岡岩帯にぶつかったのだ。5月に入ってすぐ、山崩れと大量の水がトンネルを襲った。この危機を切り抜けるため、色々な技術プランが検討されたが、工事は一向に進まなかった。そんな折りも折り、北川は次女の牧子(日色ともゑ)が白血病にかかって入院し、生命はあと一年と知らされたが、大仕事をかかえているので、娘のそばについているわけにはいかなかった。現場は労務者が一人、二人と去っていく状態で、彼らの士気は上らなかった。一方、太田垣はあらゆる手を尽して危機を乗り切るため莫大な金を投入、技術陣の科学的な処置と、北川や源三たちの努力が実を結び、その年の12月、ついに難所を突破。翌年11月、剛は由紀と結婚した。そして2月、北アルプスを抜いてトンネルが開通した。その瞬間を躍り上って喜ぶ労務者たちの中で、北川は牧子の死を知らせる電報に接し、激しく慟哭した。昭和38年3月、黒四ダムは多数の犠牲を出して完成した。その日はちょうど北川の停年退職の日であったが、北川や剛たちはダムの偉容に、無限の感動を覚えていた。


黒部の太陽

トンネル工事のシーンは、愛知県豊川市の熊谷組の工場内に再現セットが作られた。出水を再現する420トンの水タンクがあり、切羽(トンネル掘削の最先端箇所)の奥から、多量の水が噴出するシーン(上画像)では水槽のゲートが開かれると、10秒で420トンの水が流れ出し、俳優もスタッフも本気で逃げたそうだ。


辰巳柳太郎、武藤章生                                                佐野周二

題名:黒部の太陽
監督:熊井啓
企画:中井景
製作:三船敏郎、石原裕次郎
原作:木本正次「黒部の太陽」
脚本:井手雅人、熊井啓
撮影:金宇満司
照明:平田光治
録音:安田哲男、紅谷愃一
音効:杉崎友治郎
美術:平川透徹、山崎正夫、小林正義
編集:丹治睦夫
音楽:黛敏郎
現像:東洋現像所
製作補佐:銭谷功、小林正彦
製作担当:知久秀男
助監督:片桐直樹
色彩計測:宮崎秀雄
特別技術指導:熊谷組、笹島建設
協力:関西電力、間組、鹿島建設、熊谷組、大成建設、佐藤工業
スチール:飯高鋼
出演:三船敏郎、石原裕次郎、辰巳柳太郎、滝沢修、宇野重吉、寺尾聰、樫山文枝、日色ともゑ、川口晶、高峰三枝子、北林谷栄、二谷英明、山内明、志村喬、加藤武、大滝秀治、佐野周二、芦田伸介、岡田英次、鈴木瑞穂、下川辰平、下條正巳、佐野浅夫、清水将夫、武藤章生
1968年日本・三船プロダクション+石原プロモーション/シネスコサイズ・カラー196分35mmフィルム
黒部の太陽 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


黒部ダム

映画「県警対組織暴力」


菅原文太                       松方弘樹

今回は深作欣二監督1975年製作「県警対組織暴力」をピックアップする。
当時の東映は、実名映画化した1973年「山口組三代目(山下耕作監督 出演:高倉健、菅原文太)」1974年の「三代目襲名(監督:小沢茂弘 出演:高倉健、渡瀬恒彦)」が大ヒットし、山口組への対策を強化し始めていた兵庫県警が快く思わず、東映本社が家宅捜索され、岡田茂東映社長は警察に出頭を命じられた。これらの弾圧によって予定していたシリーズ三作目「山口組三代目 激突篇」の製作を断念した。その様な背景の中で、実名を出さず任侠を美化せず警察の腐敗を描いた本作が製作された。


梅宮辰夫                       成田三樹夫

【ストリー】
昭和32年。大原組内紛による倉島市のやくざ抗争は、反主流派・三宅組長の射殺と、大原組長の逮捕で一応終止符を打った。三宅派の友安政市(金子信雄)が組を解散後市会議員となってから市政の腐敗が目立ち、友安の可愛がる大阪の流れ者・川手勝美(成田三樹夫)が組を結成して以来、大原組の留守を預る若衆頭・広谷賢次(松方弘樹)との小競合が頻繁に起こるようになった。昭和38年。倉島署、捜査二課の部長刑事・久能徳松(菅原文太)は、暴力班のベテラン刑事として腕をふるっていたが、現在の警察機構では久能がどんなに実績をあげても、昇進試験にパスしない限り、警部補にはなれない。彼の10年先輩の吉浦部長刑事(佐野浅夫)がそのいい見本であった。二人はそれぞれ、やくざを取締るにはやくざの分際まで落ちなければ職務を全うできないと心得ていた。久能は6年前、三宅組長を射殺した広谷の犯行を見逃してやって以来、二人は固い絆で結ばれている。今度も久能は友安が川手組の縄張り拡張のために職権乱用した事をつきとめ叩きつぶした。倉島地区の暴力取締り本部が再編成されることになり、県警本部から若手エリート警部補・海田昭一(梅宮辰夫)が赴任した。海田は、法に厳正、組織に忠実、やくざとの私的関係を断つ、と、三点をモットーに本部風を吹かせた。海田のやり方に反撥した吉浦は退職した。時同じくして久能は妻の玲子(中原早苗)に離縁状を叩きつけられた。数日後、吉浦は川手組の顧問となり、久能は捜査班から遠ざけられた。翌日、大原組長出所祝いの花会で大原は再び逮捕され、組の解散を迫られた。これらは友安に買収された海田の描いた絵図だったが、追いつめられた広谷は久能を責めた。そして海田に反抗した久能は自宅待機を命ぜられた。一方、窮地に立たされた広谷は、吉浦をホテルに監禁し、海田と取引きした。これを無視した海田は、久能に広谷説得を要請した。自らの意志で広谷に接近した久能は、川手組の解散、広谷等の減刑、という条件で自首を納得させた。「花道じゃけん、カッコつけさせてくれ」と言って久能に手錠をはずさせた広谷は、突然海田の拳銃を奪うと車に飛び乗った。久能は腰の拳銃を抜きざま広谷の頭部を射った……。
昭和40年。倉島署内の一派出所の巡査・久能徳松は、バイクで巡回中、接近して来た一台の乗用車にはねられ即死、交通事故として処理された。


金子信雄                        池玲子

題名:県警対組織暴力
監督:深作欣二
企画:日下部五朗
脚本:笠原和夫
撮影:赤塚滋
照明:中山治雄
録音:溝口正義
美術:井川徳道
装置:近藤幸一
装飾:山田久司
背景:西村和比古
美容・結髪:東和美粧
衣装:岩道保
技斗:上野隆三
記録:田中美佐江
編集:堀池幸三
音楽:津島利章
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:真沢洋士
監督補佐:皆川隆之
助監督:藤原敏之
演技事務:森村英次
スチール:木村武司
出演:菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、池玲子、成田三樹夫、山城新伍、中原早苗、室田日出男、佐野浅夫、藤岡重慶、鈴木瑞穂、田中邦衛、金子信雄、安部徹、小松方正、汐路章、川谷拓三、曽根晴美
1975年日本・東映/シネスコサイズ・カラー100分35mmフィルム
県警対組織暴力 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


川谷拓三                       菅原文太

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