映画「性賊 セックス・ジャック」


秋山未知汚                      加賀美妙子

今回は若松孝二監督1970年製作「性賊 セックス・ジャック」をピックアップする。
’70年安保闘争のデモから始まる本作は、あの当時の息吹を知る者にとって熱くなる作品である。懐かしい想いが甦り、若松監督のアイロニーが効いている “薔薇色の連帯” には笑った。本作は、ピンク映画の枠組みで製作されている為にパートカラーになっているが、2年後に日本ATGと共に製作された一般作品「天使の恍惚」でも同じ作り方をしている。しかし、制作予算は微妙に多く、照明機材のKw数が違うのが映画を観て分かる。

作品リスト


河野均一                     笹原茂朱、秋山未知汚

香取環                        加賀美妙子

【ストリー】
組織のたて直しを模索していた大須(河野均一)が率いる過激派グループは公安警察の突然の手入れにあってしまう。刑事の拳銃を奪い、その場を脱した大須や登川(笹原茂朱)らは、逃走の途中で知り合った鈴木(秋山未知汚)と共にひとまず仲間のみどり(加賀美妙子)のアパートに身を隠したのだった。その夜、繰り広げられた「薔薇の連帯」と呼ばれる乱交に鈴木は加わろうとはしなかった。一夜明けると鈴木と大須の姿が見えず、やがて部屋に戻った鈴木が持ち帰った新聞を見て登川らは愕然とする。そこには昨夜、新宿で起きた何者かによる発砲事件と大須逮捕の記事が載っていた。


性賊/セックス・ジャック

題名:いろはにほてと 性賊 SEX-JACK
別題:性賊 セックス・ジャック
企画・製作:若松孝二
監督:若松孝二
脚本:出口出(足立正生)
撮影:伊東英男
照明:磯貝一
録音:臼井多美雄(大久保スタジオ)
音効:創音社
編集:中村源喜
音楽:音楽集団映像グループ
現像:東映化学
助監督:小水一男、梅沢幸平、吉積恵
撮影助手:高間賢治、横田直寿
照明助手:土井史郎
出演:加賀美妙子、香取環、若山悦子、河野均一(小水一男)、笹原茂朱(夜行館)、須藤黙布(夜行館)、山川蜜(夜行館)、天野照子、多田改造、今野勇、斉藤正治、瓜生良介、三好道明(発見の会)、巻口徹、寺島幹夫、タンコボ鬼馬二(夜行館)、秋山未知汚
1970年日本・若松プロダクション/シネスコサイズ・パートカラー70分35mmフィルム
性賊/セックス・ジャック-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


性賊/セックス・ジャック

【出演】
米田正子:香取環
横井みどり:加賀美妙子
立沢安江:若山悦子
登川直造:笹原茂朱
八木政年:須藤黙布
丸山国男:山川蜜
女将:天野照子
中村:多田改造
吉田:今野勇
伊藤:斉藤正治
労務者1:瓜生良介
労務者2:三好道明
労務者3:巻口徹
刑事1:寺島幹夫
刑事2:タンコボ鬼馬二
大須武夫:河野均一(小水一男)
鈴木:秋山未知汚


性賊/セックス・ジャック 「1970 代々木公園」

性賊/セックス・ジャック 「1970 原宿・表参道」

映画「甘い罠」

今回は若松孝二監督1963年製作「甘い罠」をピックアップする。
本作はピンク映画というジャンル分けをされているが、短縮版を見る限り裸体シーンは出てこない。ピンク映画系列映画館で上映されたのでその分類になっているのだろうか?また作品の資料がほとんどなく追記で補完して行く予定です。
余談になるが、本作で私との接点は、撮影の門口友也氏に1970年代後半に東活プロというピンク映画制作会社で撮影助手として20本前後の作品に就かせて戴いた事があり、お世話になった。その後、1979年に若松孝二監督「餌食」でフォーカスマンを担当させて戴いた。

若松プロダクション (YouTUBEより)
若松孝二監督の生誕80年を記念して、若松孝二監督のデビュー作である「甘い罠」(1963年製作)を公開します。本作は長らく行方不明となっていましたが、フィルム収集家の方の寄贈により発見されました。公開情報では82分となっていますが、このフィルムは上映館によるとみられる編集がなされており、現存するのは54分のみとなります。ピンク女優・第一号ともいわれ、若松孝二監督の初期作品を支えた香取環が出演。

「甘い罠」について
1963年です。当時のお金で製作費が150万くらい。こんな低予算映画は、当時はどこを見渡してもなかった。(~略~)助監督が2人、撮影部が3人、照明が4人、スクリプターが1人、それと監督の俺。5社映画(東宝、東映、日活、松竹、大映)と比較したら、これで映画が作れるのか?って思われるほどの弱小スタッフだった。(若松孝二)

若松孝二監督プロフィール
宮城県出身。農業高校を中退して上京。TVドラマの助監督を経て、1963年にピンク映画「甘い罠」で映画監督デビューする。1965年、若松プロダクションを設立。反体制的な主張を込めた作品を数多く発表し、学生運動の高まりとあいまって若者の支持を得る。
大島渚監督の「愛のコリーダ(1976年)」では製作を務めた。その後も、権力や体制に対する怒りを原動力に社会派の作品を生み出し、国内外で評価を高める。2008年、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」でベルリン国際映画祭のNETPAC賞(最優秀アジア賞)と国際芸術映画評論連盟賞を受賞。「キャタピラー(2010年)」では、主演の寺島しのぶに同映画祭の最優秀女優賞をもたらした。2012年10月12日、東京都内で交通事故に遭い、5日後の2012年10月17日に逝去。享年76歳だった。中上健次の小説を映画化した「千年の愉楽(2012年)」が遺作(2013年春公開)となった。

作品リスト

題名:甘い罠
監督:若松孝二
脚本:峰三千雄
撮影:門口友也
照明:
録音:
編集:
記録:
助監督:
撮影助手:
出演:五所怜子、 香取環、竹田公彦、睦五郎
1963年日本・東京企画/シネスコサイズ・モノクロ82分35mmフィルム
2017年3月現在、DVD販売・レンタルはありません。


甘い罠

映画「おんな地獄唄 尺八弁天」

おんな地獄唄 尺八弁天おんな地獄唄 尺八弁天
香取環

今回は渡辺護監督1970年製作「おんな地獄唄 尺八弁天」をピックアップする。

「この頃のピンク映画は、スタッフ、俳優も不思議な熱気(パトス)の中で生きていた。スターシステムの甘ったるいメジャー大作なんてクソくらえ。俺たちはメジャーにないものを撮る。どんな人間も悪をもっている。悪を取り除いたら、人間でなくなるし、面白くない。
映画芸術/2011年:渡辺護

大和屋竺氏の脚本で撮られた本作は、今の甘ったるいテレビドラマや自称映画には何一つも感じ得ないスタッフ、俳優のパトスをスクリーンから感じ得る作品だ。

おんな地獄唄 尺八弁天おんな地獄唄 尺八弁天

【ストリー】
女博徒として名を馳せる弁天のお加代(香取環)は、ヤクザ者を何人も殺めており追手がかかっている。そんなある日、お加代は渋川で御用となった。彼女に縄をかけたのは渋川署詰めの刑事・本多源九郎(武藤周作)。しかし、本多はお加代を山の方へと引っ張って行った。現れたのは蝮の銀次(吉田純)とその手下。本多は銀次にお加代の身柄を渡すと、金を受け取った。お加代に恨みを抱く親分衆に弁天を彫ったお加代の背中の皮を届ける約束をした銀次は、本多を仲間に抱き込んだのだった。しかし、本多はお加代を山の方へと引っ張って行った。現れたのは蝮の銀次(吉田純)とその手下。本多は銀次にお加代の身柄を渡すと、金を受け取った。お加代に恨みを抱く親分衆に弁天を彫ったお加代の背中の皮を届ける約束をした銀次は、本多を仲間に抱き込んだのだった。三年後。お加代は、渋川へと向かっている。彼女の道中をチンピラのヤクザ者が仁義を切って来る。男は言問の伝八(野上正義)と名乗るが、お加代は軽くかわして道中を急いだ。伝八は、最近蝮の銀次と杯を交わしており、二人はお加代の後を追って向かいの宿を取った。お加代の見張りを伝八に命じると、銀次は遊女のとよ(辰己典子)を呼んでよろしくやっている。伝八はすっかりとさかに来る。 三年後。お加代は、渋川へと向かっている。彼女の道中をチンピラのヤクザ者が仁義を切って来る。男は言問の伝八(野上正義)と名乗るが、お加代は軽くかわして道中を急いだ。伝八は、最近蝮の銀次と杯を交わしており、二人はお加代の後を追って向かいの宿を取った。お加代の見張りを伝八に命じると、銀次は遊女のとよを呼んでよろしくやっている。伝八はすっかりとさかに来る。 世も更けて、お加代とおさよは湯に浸かっている。自分のことを姉のように慕ってくるおさよに背中の弁天を見せると、自分は終いの湯にしか入れない身だとお加代は言った。すると、そこに銀次と伝八が現れ二人に襲いかかって来た。お加代は銀次の刀を取り上げると、返り討ちにしてやった。顔を切りつけられた銀次と伝八は、尻尾を巻いて逃げ出した。明けて、出発の朝。嘉助の横で沈んだ表情をしているおさよに、通りがかりの飛脚がお加代のかんざしと文を渡した。渋川へと向かう道中、お加代は賭場で一人勝ちする。場を仕切る親分に心付けを渡すと、お加代は本多の消息を尋ねた。本多は、刑事を辞めて今では村一番の紡績会社を経営する事業家になっていた。一人夜道を歩いているお加代。指定村社・三島神社の境内で、物陰から「賭博で儲けた金をよこせ」という声がかかる。お加代が断ると、じゃあ命を寄越せと来た。お加代が笑って流すと、「じゃあ、ことのついでだ。お前の背中の弁天をもう一度拝みてえ」と男は言った。「出て来やがれ!」というお加代の言葉に、学生服を身に纏ったセイガクが姿を現した。お加代の匕首を拳銃で跳ね飛ばし、セイガクは当て身を食らわした。気を失ったお加代を担いで、セイガクは神社の本殿に入って行った。セイガクはお加代の着物をはだけて、背中の弁天を見る。すると、彼の体の芯が疼きを感じた。目を覚ましたお加代と向き合うと、二人は背負った弁天と吉祥天に導かれるように肌を合わせた。 おさよが連れて来られたのは、本多の屋敷だった。何も知らされていないおさよは激しく抵抗するが、本多によって水揚げされてしまう。 事が済んだ本多の元に、お加代が渋川にやってきたとの報がもたらされる。しかし、すでに本多は手を打っていた。おさよは、隣の寝室で本多たちの話に聞き耳を立てていた。隙を見て本多邸から逃走を図ったおさよだったが、すぐに囚われて土蔵で嘉助から拷問を受ける羽目になった。夜が明けてセイガクと別れたお加代は、自分がおさよに贈った簪が落ちているのを見つけた。 おさよが拷問を受けている頃、賭場では伝八がイカサマだと難癖をつけている。しかし、誰一人として伝八に付くものはない。一緒にいた銀次も冷ややかな視線を送るだけだった。伝八は、仁義を欠いたとしておさよと同じ土蔵に監禁され散々いたぶられた。神社の境内で尺八を吹いているセイガク。彼の前に、本多が現れた。セイガクは本多の飼犬であり、本多が言った「手は打ってある」とは、セイガクにお加代を仕留めよと命じたことだった。セイガクは懐からお加代の髪を取り出すと、「この通りだ」と報告した。セイガクのことを信頼しきっている本多は、彼の言葉を鵜呑みにした。 おさよを探して急ぐお加代の前に、銀次が立ちはだかる。しかし、お加代は難なく切り捨てた。お加代が銀次を仕留めたことをセイガクは感じ取っていた。「一匹…」と言って笑うと、怪訝そうな目で見ている本多を気にすることなく、「ひとつ、こっちも吠えてやろう」と言って尺八を吹いた。「そこだね。今、行きます。吉祥天の人…」とお加代は微笑んだ。二人は、心と心で通じ合っていた。いや、背中と背中で…といた方がより正しいか。お加代は、土蔵に踏み込むとおさよと伝八を助け出した。セイガクは懐から拳銃を取り出すと、本多を撃った。しかし、物陰から現れた本多の用心棒たちに斬られ、彼も地面に屑折れた。そこに、本多お抱えのヤクザ者たちと斬り合いをしながら弁天がやって来る。倒れているセイガクを見たお加代が「吉祥天の!起きるんだ!」と叫ぶと、セイガクは最後の力を振り絞り「弁天、もう…俺を呼ばないでくれ…」と言って事切れた。お加代は、本多の手の者たちをすべて斬り殺した。お加代と同じ弁天の刺青を彫るんだというおさよを伝八が必死に止めている。かしましいやり取りをしながら遠くなって行く二人の姿を弁天は見送った。 そして、地獄唄を歌いながらお加代は一人歩いて行くのだった…。

おんな地獄唄 尺八弁天おんな地獄唄 尺八弁天

題名:おんな地獄唄 尺八弁天
監督:渡辺護
製作:伊能実
脚本:日野洸(大和屋竺)
撮影:池田清二
照明:栗本一雄
録音:目黒スタジオ
音効:小森効果工房
記録:豊島睦子
編集:宮田二三夫
音楽:林伊久馬
現像:目黒現像
助監督:西村智之
出演:香取環、辰巳典子、青山リマ、武藤周作、野上正義、国分二郎
1970年日本・わたなべぷろだくしょん/シネスコサイズ・パートカラー75分35mmフィルム
おんな地獄唄 尺八弁天 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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