映画「もっとしなやかに もっとしたたかに」


森下愛子                             奥田瑛二

今回は藤田敏八監督1979年製作「もっとしなやかに もっとしたたかに」をピックアップする。
ニューファミリージェネレーションの風潮の中で、苦悩し彷徨い80年代に向かう若者群像を描いたものだが、森下愛子さんのキャラクターなしには成立しない作品である。撮影は、1979年3月19日~4月16日に行われ、東洋現像所(現:イマジカ)での初号試写が1979年4月25日、28日には全国劇場公開をしたそうだ。


高沢順子                               赤座美代子

【ストリー】
24歳の若さで妻の君枝(高沢順子)に家出された勇一(奥田瑛二)は、カメラマンになる夢も捨てて、息子の大助(藤原友宏)を姉夫婦(赤座美代子、浜口竜哉)に預け、妻を捜すために運送屋に勤めていた。ある日、勇一はロックバンドの親衛隊同士のいざこざで危ないところだった彩子(森下愛子)を助けた。暫くして、勇一のアパートを訪ねて来た彩子は、そこで異常な出血をして勇一の世話になりながらも、勇一の大事にしているカメラを持って逃げてしまう。自分の親切にまんざらでもない勇一は愕然とするのだった。やがて、上司から君枝を青山で見かけたと聞いた勇一は、彩子のことも忘れて、君枝の勤めているというスーパーマーケットに向かった。勇一はスーパーの寮で君枝を激しく詰問し、抱きもしたが、結局、その日は一人で帰った。翌日、勇一がスーパーに行くと、君枝の姿はもうなかった。勇一は仕事もする気になれず、空地に車を止め、物思いにふけっていると、仲間と一緒に売春をしている彩子を見かけた。勇一は彩子にカメラの事を尋ねるが、彼女は身体で返すことしか出来なかった。二人はモーテルに入るが、勇一は君枝のことが忘れられず、彩子を抱くことは出来なかった。しかし、翌日カメラを持って勇一のアパートにやって来た彩子は大助とすぐに親しくなり、その日は三人で遊園地に行って楽しい時を過ごした。勇一にとって、こんなことは久しぶりのことだった。その夜、勇一は君枝を忘れるかのように彩子に挑み、彼女もそれに応じた。しかし、皮肉にも、「君枝が家にいるから会って欲しい」と彼女の兄(河原崎長一郎)が伝えにやってきた。君枝が帰ってくることを心配して、主婦然とする彩子に勇一は腹をたてる。君枝が帰って来た。彩子はいたたまれず、出て行った。行くあてのない彩子は、病院に入院している勇一の父(加藤嘉)の看病をすることにした。暫くして、父は危篤状態になり、姉夫婦、勇一、大助たちが病院にかけつけたが、君枝の姿はなかった。その時、君枝はアパートに訪ねて来た勇一の親友海野(風間杜夫)に求められ、交渉を持ってしまった。父は皆の名を呼び、君枝の名も呼ぶが、手を握ったのは彩子だった。そして君枝が訪れたとき、父はすでに息をひき取った後であった。彩子はいつの間にか病院から抜け出していた。数日後、飲み屋で彩子を見つけた勇一は彼女を抱く。そのあと、彩子を捜していた両親(蟹江敬三、根岸明美)がやって来た。彼女は口論の末、勇一、両親の前から姿を消す。残った両親を批判した勇一は、彩子の父親に突き飛ばされてしまい、通りかかったパトカーにひかれてしまう。その時、君枝は公園で、大助の遊ぶ姿を遠くから何も知らずに見つめているのだった。


「もっとしなやかに もっとしたたかに」森下愛子、奥田瑛二

風間杜夫                                                       河原崎長一郎、奥田瑛二

題名:もっとしなやかに もっとしたたかに
監督:藤田敏八
企画:進藤貴美男
製作:三浦朗
脚本:小林竜雄
撮影:前田米造
照明:川島晴雄
録音:橋本文雄
美術:徳田博
編集:井上治
音楽:篠崎コウヘイ 演奏:SOAP
現像:東洋現像所
製作担当:栗原啓祐
助監督:上垣保朗、根岸吉太郎
色彩計測:森嶋章雄
スチール:井本俊康
出演:森下愛子、奥田瑛二、高沢順子、風間杜夫、真木洋子、梅津栄、赤座美代子、河原崎長一郎、蟹江敬三、根岸明美、浜口竜哉、絵沢萠子
1979年日本・日活/シネスコサイズ・カラー98分35mmフィルム
もっとしなやかに もっとしたたかに -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「もっとしなやかに もっとしたたかに」森下愛子、奥田瑛二

奥田瑛二、梅津栄、真木洋子                 根岸明美、蟹江敬三、奥田瑛二

根岸明美、森下愛子                        高沢順子

映画「人間の証明」


人間の証明

岡田茉莉子                      松田優作

今回は佐藤純彌監督1977年製作「人間の証明」をピックアップする。
本作は「犬神家の一族(1976年/市川崑監督)」に次ぐ角川春樹事務所製作第二弾で、興行収入は22.5億円だったそうだ。当時の日本映画では稀なニューヨークロケが行われ話題になった。脚本は賞金500万円を掲げて大々的に脚本を公募した。プロアマ問わずとの条件で最終選考に残ったのは、脚本家・監督の松山善三氏だった。
劇場で見たこの40年前の本作を今見直すと…..。鈍調なリズムで物語を展開する手法にいささか辛かったが、豪華俳優陣の采配は今ではあり得ない。当時は角川映画が日本映画の原動力だった事を思い出す。


松田優作、ハナ肇                   三船敏郎

【ストリー】
東洋的な風貌を頬に刻んだひとりの黒人青年ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)が、ニューヨーク・バンクで6,000ドルの大金を白人紳士から受け取り、みすぼらしいスラムをあとに、一路東京へと飛び発った。キスミーに行くという言葉を残して。東京ロイヤル・ホテルの四十二階で、人気絶頂の女流デザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)のファッション・ショーが始まって間もないころ、エレベーターの中で、黒人が胸にナイフを突き刺し、西条八十詩集を抱いたままその場に倒れて死んでいた。麹町署に捜査本部を置き、警視庁の那須班の刑事たちは、エレベーター・ガールの証言から、ジョニーが死にぎわに口走った“ストウハ……”という言葉を最初の手がかりとして、捜査を開始した。棟居刑事(松田優作)とベテラン刑事横渡(ハナ肇)らは、現場近くの潜水公園を検証し、そこで古い麦わら帽子を発見した。ストウハ……、それはストロウ・ハット(麦わら帽子)の事なのか?--その夜、別の場所で車による轢殺事件が起きた。東洋技研の新見部長(夏八木勲)に、家の近くまで送られてきたホステスのなおみ(范文雀)が車から降りて間もなく、別の方向から走ってきた車にはね飛ばされた。運転していた郡恭平(岩城滉一)は、女友達の路子(高沢順子)と共に、なおみの死体を車に担ぎこみ、山林に埋めた。一方、なおみのことが気にかかり、彼女と別れた場所に戻った新見は、そこで血のにじんだ時計を見つける。それは息子の恭平に、八杉恭子が買い与えた物だった。ニューヨーク市誓の刑事ケン・シュフタン(ジョージ・ケネディ)は、日本からの依頼で、ジョニーの身元捜査のため、彼のアパートを訪ね、そこでパーク・アベニューに住む、ライオネル・アダムスの名を記したメモを見つけた。アダムス(リック・ジェイソン)の話によると、数カ月前、彼の車にぶつかってきたウィルシャー・ヘイワードという名の黒人に6,000ドルを要求され、彼の息子のジョニーに支払ったという。一方、失踪した愛人のなおみを追っていた新見は、時計の持主が郡恭平であることをつきとめた。新見から依頼を受けた棟居と横渡が、郡家を訪れると、すでに恭平はニューヨークへ発った後である。恭平が事故を起こした事を知った恭子が、彼を国外へ逃がしたのであった。郡家からの帰途、おでん屋に立ち寄った棟居と横渡は、酔い痴れた客が、西条八十の詩の中の“霧積”と言葉を口ずさむのを耳にする。ジョニーが言った“キスミー”それは、もしかすると、この霧積のことではないのか? 早速その霧積へ飛んだ棟居と横渡は、この地に古くから住む中山たねという老婆が、昔、霧積にやって来た黒人の親子連れを見かけたことがあるという話を聞きこみ、そのたねのもとへ駈けつけたが、たねはその直前に殺されていた。棟居らは、たねのいとこよしのから、たねが終戦直後、横須賀でバーを開いていたこと、そしてその店で意外な女性が働いていたことを知った。中山たねが、昔見かけた黒人の親子連れというのは、この女と、ウィルシャー・ヘイワード、そしてジョニーのことではないだろうか。ウィルシャーが、わが身を犠牲にしてまで、息子を日本へ旅立たせた訳は、ジョニーを母に会わせるためだったのではないだろうか? そして、日本へやって来たジョニーと、この母との間に何かが起きた--棟居はいっきにニューヨークに飛び、25分署のケン・シュフタンとコンビを組んで、ジョニーの父親ウィルシャー・ヘイワードの捜査を開始したが、意外にも日本とアメリカの二人の刑事は、宿命的な絆によって結ばれていたのだ。戦後30年、さまざまな生き方をしてきた人々が、見えない一本の糸にからまれるように、深く関り合う。東京とニューヨークを結ぶこの捜査が進むにつれ、事態の展開は、息をのむような新しい事実をほりおこし、また意外な事件を生んでゆく。


ジョー山中                    ジョージ・ケネディ

ジョージ・ケネディ、松田優作            三船敏郎、岡田茉莉子

坂口良子                 カメオ出演:姫田真佐久氏(本作撮影技師)

鶴田浩二、鈴木瑞穂                   竹下景子 

岩城滉一                        松田優作

題名:人間の証明
監督:佐藤純彌
製作:角川春樹、吉田達、サイモン・ツェー
原作:森村誠一
脚本:松山善三
撮影:姫田真佐久
照明:熊谷秀夫
録音:紅谷愃一
美術:中村修一郎
衣装:山田実、春日潤子
結髪:志賀喜久江
技髪:渡辺喜己
技斗:伊藤浩市
記録:小山三樹子、鈴木清司
編集:鍋島惇 ネガ編集:大山似四登
音楽:大野雄二 主題歌:ジョー山中「帽子」
撮影機材:パナビジョン
現像:東洋現像所
製作補佐:武田英治
製作進行:桜井勉、細谷修身
助監督:葛井克亮
スチール:加藤光男
<<ニューヨーク・ユニット>>
撮影:ソール・ネグレン(Sol Negrin)
美術:デーブ・ムーン(Dave Moon)
録音:マイク・トローマー(Mike Trommer)
衣装:ジョージ・ニューマン’George Newman)
製作主任:リーランド・ハース
製作補佐ミルトン・モシュラック(Milton Moshlak)
助監督:アレックス・ハプセス(Alex Hapsas)
出演:岡田茉莉子、松田優作、ジョージ・ケネディ、ハナ肇、三船敏郎、鶴田浩二、夏八木勲、ジョー山中、岩城滉一、リック・ジェイソン、竹下景子、范文雀、ジャネット八田、鈴木瑞穂、坂口良子、峰岸徹、地井武男、和田浩治、高沢順子、大滝秀治、佐藤蛾次郎、北林谷栄、西川峰子、室田日出男
1977年日本・角川春樹事務所・東映/ビスタサイズ・カラー132分35mmフィルム
人間の証明 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


ハナ肇、松田優作                    岡田茉莉子

映画「誘拐報道」

誘拐報道誘拐報道
萩原健一                     小柳ルミ子

今回は伊藤俊也監督1982年製作「誘拐報道」をピックアップする。
本作は、1980年に発生した宝塚市学童誘拐事件を描いた読売新聞大阪本社社会部編の同名ドキュメンタリーを基に作られた。
伊藤俊也監督は、小柳ルミ子さんのヒロイン役に固執し、渡辺プロダクションに何度も直訴したそうだが、拘束期間の長い映画には出させられないと断られた。そこで萩原健一さんが小柳さんを説得し、渡辺プロダクションも折れてようやくクランクインが決定した経緯があったそうだ。出演者の豪華な顔ぶれを見ても分かるが、大作である。故にシークェンスが多く散漫な印象を残し、冗長な流れに観る者の緊張が途切れるサスペンスだった。

【追記・訃報】
ドラマ「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」など数々の作品で知られる俳優で、グループサウンズ「ザ・テンプターズ」のボーカルも務めた萩原健一(はぎわら・けんいち、本名・敬三=けいぞう)さんが2019年3月26日午前10時30分、GIST(消化管間質腫瘍)のため都内の病院で死去したことが28日、分かった。68歳。埼玉県出身。所属事務所が発表した。「ショーケン」の愛称で親しまれ、一時代を築いた。
2019年3/28(木) 22:07配信 スポニチアネックス

誘拐報道誘拐報道
小柳ルミ子、萩原健一              秋吉久美子、岡本富士太
誘拐報道誘拐報道
秋吉久美子、岡本富士太               三波伸介

【ストリー】
豊中市の私立学園一年生の三田村英之(和田求由)が、下校途中に誘拐された。県警本部の発表で、犯人が英之少年の父で小児科医の三田村昇(岡本富士太)に三千万円の身代金を要求していることが分かった。各新聞社に“報道協定”の要請があり、子供の生命がかかっているため、各社は受けざるを得なかった。三田村家には遠藤警部(伊東四朗)以下六名の警察官が入り込み、昇や妻の緋沙子(秋吉久美子)と共に電話を待った。武庫川の川原に緋沙子が一人で来るようにとの電話があった。川原には英之の学帽とランドセルが置かれてあった。山岳地帯を貫いて、日本海側へ向かう高速自動車道。早朝の不甲峠を一台のムスタングが通過していく。数刻後、そのムスタングからサングラスの男が降り、公衆電話ボックスに向かった。ダイヤルをまわした先は三田村家。男は今日中に金をそろえるように指示して受話器を置いた。この知らせに大阪読売本社は色めきたった。「協定を結んだ以上、取材・報道は自粛するが、協定解除に向けて取材の準備はおこたりなく!」檄をとばす吉本編集局長(永井智雄)。同じ頃、日本海を見下す断崖の上から、犯人が布団袋に入れた子供を投げすてようとするが、密漁者たちがいるために失敗。その足で犯人=古屋数男(萩原健一)は老母のいる実家へ寄る。そこへ数男の妻・芳江(小柳ルミ子)から電話がかかってきた。芳江は喫茶店をだましとられた数男を助けようと造花工場で働いているのだ。気が弱いくせに見栄っばりな数男は娘の香織(高橋かおり)を私立学園に通わせていた。その香織と英之は同じクラスで仲良しだったのだ。実家を出た数男は再び英之を殺そうとするが、袋の中から「オシッコ!」と訴える英之に小用をさせているうちに殺意はしぼんでいった。途中で財布を落とし、持ち金も無くなった数男は、三田村家に電話を入れ、取り引き場所として宝塚市内の喫茶店を指示。捜査本部はあわただしく動き、記者たちも店を張り込んだ。危険を感じた数男は店に近づかなかった。風邪気味だった英之が悪寒を訴えた。このままでは英之が死んでしまう。焦る数男は、最後の指示を三田村家に伝えた。箕面市のレストランだ。三田村夫婦は警察に張り込まぬように哀願し、レストランの前で待った。しかし、数男は路上に張り込んだ刑事たちの姿を見つけた。万事休すだ。子供が死んでしまう。もう身代金は取れない……。翌朝、路上に停車して呆然としている数男が逮捕された。トランクの中の英之は無事だった。

誘拐報道誘拐報道
平幹二朗                     菅原文太

題名:誘拐報道
監督:伊藤俊也
企画:天尾完次、高井牧人
製作:高岩淡、後藤達彦
プロデューサー:松尾守、瀬戸恒雄
脚本:松田寛夫
撮影:姫田真佐久
照明:山口利雄
録音:林鉱一
音効:原尚
美術:今村力
装置:開米慶四郎
装飾:金田孝夫
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣装:内山三七子
記録:山内康代
編集:戸田健夫
音楽:菊池俊輔
現像:東映化学
進行主任:小島吉弘
助監督:森光正
スチール:加藤勝男
出演:萩原健一、小柳ルミ子、秋吉久美子、岡本富士太、和田求由、宅麻伸、三波伸介、伊東四朗、なべおさみ、丹波哲郎、菅原文太、平幹二朗、大和田伸也、中尾彬、池波志乃、平幹二朗、藤谷美和子、高沢順子、松尾嘉代、湯原昌幸、永井智雄、小倉一郎、藤巻潤、宮内洋、高橋かおり
1982年モントリオール世界映画祭審査員賞
1982年日本・東映+日本テレビ放送網/ビスタサイズ・カラー134分35mmフィルム
誘拐報道 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

誘拐報道誘拐報道
伊東四朗                    萩原健一

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