映画「荒野の七人」


荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックィーン

ユル・ブリンナー                 スティーヴ・マックィーン

今回はジョン・スタージェス監督1960年製作「荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)」をピックアップする。
本作は黒澤明監督が1954年に東宝で制作した「七人の侍」を許諾を得てが西部劇化した作品である。原作は、農民に対する善意・義侠心・憐れみを持って7人が村へと集結するが、本作では7人それぞれに事情と思惑を持ちつつ、あくまで20ドルの礼金を前提として7人が揃って盗賊と戦うという設定だ。本作は続編2作とテレビシリーズが制作され、2016年にアントワーン・フークア監督によって原題「マグニフィセント・セブン」でリメイクされた。
当時、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーンなどトップスターだったユル・ブリンナー以外の俳優は、ブレイク前だった。またユル・ブリンナーは1971年「大西部無頼列伝」イーライ・ウォラックは1966年「続・夕陽のガンマン」他多数、ジェームズ・コバーンは1971年「夕陽のギャングたち」など、ハリウッドからイタリアへ、マカロニ・ウエスタンで貫録の出演をしている。

七人の侍
七人の侍(1954年)」黒澤明監督

荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックィーン

チャールズ・ブロンソン               ロバート・ヴォーン

荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)撮影風景

ジェームズ・コバーン、ホルスト・ブッフホルツ   イーライ・ウォラック

ジェームズ・コバーン、スティーヴ・マックィーン ホルスト・ブッフホルツ、ユル・ブリンナー、ブラッド・デクスター

【ストリー】
メキシコの寒村イスカトランの村人達は毎年収穫期になると恐怖に戦いていた。カルヴェラ(イーライ・ウォラック)が率いる野党がきまって掠奪にくるからだ。しかし、今年はもう我慢が出来なくなっていた。子供達は飢え、村を去っていく農民がふえていた。ヒラリオと2人の農夫は皆を代表して戦うことを決議、銃を買いに国境のアメリカの町やって来た。彼らが町に着いた時に騒ぎが起きていた。原住民の死体を白人の墓地に埋める埋めないの騒ぎだ。全身黒ずくめのガンマン、クリス(ユル・ブリンナー)が無造作に俺が埋めてやろうと買って出た。そこへやりとりを見ていたヴィン(スティーヴ・マックイーン)も助手を志願した。墓地で銃を構える数人の男達、だが、クリスとヴィンは鮮やかにこの騒動を片づけてしまった。ヒリイオ達はこの有様を見てクリスにわけを話して力になってもらうことにした。同意したクリスは腕の立つガンマンを探し始めた。最初に仲間に入ったのがクリスの古い友人ハリー・ラック(ブラッド・デクスター)だった。ヴィンも仲間に入った。ナイフ使いの名人ブリッ(ジェームズ・コバーン)と早打ちのリーも加わった。それに西部で名高いオラリー(チャールズ・ブロンソン)も仲間に入れた。そんな中にチコという男がいた。経験も浅く40人もの敵を相手に戦うには若過ぎた。だがチコはクリスを尊敬していた。チコは強引に仲間に入れてもらった。7人のガンマンを迎えて村は一変した。クリスは村人達に戦う準備をさせた。防壁を築いたり銃の使い方を教えたり、7人の男達と村人の間には奇妙な友情が生まれていった。チコはペトラ(ロゼンダ・モンテロス)という村娘と仲良くなった。そんな時に、カルヴェラ一味が村を襲って来た。凄惨な拳銃戦が展開された。野盗は撃退された。死傷者も出た。村の雑貨商ソテロは臆病者で戦いにまき込まれるのを恐れていた。クリスはこの機を逃さず一味を全滅させようと深夜野盗のキャンプを襲った。しかし誰もいなかった。ソテロの裏切りでカルヴェラは7人の逆をついて村を占領していたのだ。7人は村を追い払われた。しかし、クリスはもう一度村へ引返し戦うことを皆に告げた。逆襲は掠奪に酔ったカルヴェラ一味の隙をついた。戦闘は激烈をきわめたが、カルヴェラも一味も全滅できた。味方もハリー、ブリット、リー、オラリーが斃れた。チコはペトラと暮らすことになり、クリスとヴィンは村を去った。クリスは村を眺めながら云った。「本当に勝ったのは農民たちだ。俺たちじゃない。」と…。


荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)撮影風景

ホルスト・ブッフホルツ               ロゼンダ・モンテロス

題名:THE MAGNIFICENT SEVEN
邦題:荒野の七人
監督:ジョン・スタージェス
製作総指揮:ウォルター・ミリッシュ、ルー・モーハイム
製作:ジョン・スタージェス
原作:黒澤明、橋本忍、小国英雄 (映画「七人の侍」)
脚本:ウィリアム・ロバーツ、(初稿:ウォルター・ニューマン)
撮影:チャールズ・ラング
録音:ジャック・ソロモン
美術:エドワード・フィッツジェラルド
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:エルマー・バーンスタイン
撮影機材:パナビジョン
現像:デラックス
出演:ユル・ブリンナー、ジェームズ・コバーン、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ホルスト・ブッフホルツ、ブラッド・デクスター、イーライ・ウォラック
1960年アメリカ/シネスコサイズ・カラー128分35mmフィルム
荒野の七人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)

荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)撮影風景

荒野の七人(THE MAGNIFICENT SEVEN)ジョン・スタージェス監督

映画「夢」


今回は黒澤明監督1990年製作「夢」をピックアップする。
本作は黒澤監督自身が見た“夢”の世界を八つのオムニバス形式で描いたものだ。
黒澤監督は当初、合成場面は従来通り、すべてオプチカル合成で行うつもりであったが、フランシス・フォード・コッポラ監督の助言で、HDデジタル合成を初めて導入し、その特殊効果にはジョージ・ルーカス氏のILM (INDUSTRIAL LIGHT & MAGIC)、デンフィルム・エフェクトの中野稔氏が担当し「八月の狂詩(1991年)」「まあだだよ(1993年)」でも継承されたそうだ。また本作は、アメリカのワーナー・ブラザースが配給権を有している為に国内で上映可能なプリントは、東京国立近代美術館フィルムセンターに保存されている1本だけである事から「デルス・ウザーラ(1975年)」同様に日本でのフィルム上映の機会は希少の様だ。
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題名:夢
英題:AKIRA KUROSAWA’S DREAMS
監督:黒澤明
脚本:黒澤明
撮影:斎藤孝雄、上田正治
照明:佐野武治
録音:紅谷愃一
音効:三繩一郎、斎藤昌利
美術:村木与四郎、櫻木晶
小道具:浜村幸一
衣装:ワダエミ
化粧:上田庄七郎
結髪:中尾さかい
デジタル合成:ILM (INDUSTRIAL LIGHT & MAGIC)
マットペイント:上杉裕世、Caroleen Green
合成技術:中野稔(デンフィルム・エフェクト)
編集:黒澤明 ネガ編集:南とめ
音楽:池辺晋一郎
フィルム:イーストマン・コダック(日本コダック)
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
照明機材:リーカラートラン社、エンジニアライティング
現像:イマジカ
提供:スチーブン・スピルバーグ(アンフリン・エンターテーメント)
アソシエイト・プロデューサー:アラン・H・リーバート、飯泉征吉
プロデューサー:黒澤久雄、井上芳男
プロダクションマネージャー:野上照代
プロダクションコーディネーター:末弘巌彦
製作担当:丹波邦夫
製作主任:熊田雅彦
監督補佐:本多猪四郎
チーフ助監督:小泉堯史
助監督:米田興弘、酒井直人、杉野剛、早野清治、田中徹、ヴィットリオ・ダッレ・オーレ
撮影協力:原一民
スチール:原田大三郎
出演:寺尾聰、倍賞美津子、原田美枝子、根岸季衣、井川比佐志、いかりや長介、笠智衆、頭師佳孝、山下哲生、マーティン・スコセッシ、油井昌由樹、常田富士男、カトリーヌ・カドゥ
1990年日本・アメリカ・黒澤プロダクション/ビスタサイズ・カラー121分35mmフィルム
黒澤明「夢」-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


倍賞美津子

【日照り雨】
江戸時代を思わせる屋敷の門前で、幼い私は突然の日照り雨にあう。畑仕事帰りの母から冗談交じりに「外へ出ていってはいけない。こんな日には狐の嫁入りがある。見たりすると怖いことになる」と言われるが、誘われるように林へ行くと道の向こうから花嫁行列がやってくる。しかし、木陰で見とれている私の存在を次第次第に意識するそぶりを見せつけてくる行列に、居たたまれなくなって自宅に逃げ帰ってしまう。帰り着いた屋敷は一転して冷たく閉ざされ、門前に立つ母は武家の女然として短刀を渡し、自ら始末を付けるよう告げ、引っ込んでしまう。閉め出された私はさまよう内に、丘の上から雨上がりの空を見上げるのだった。
出演:5歳の私:中野聡彦 私の母:倍賞美津子 狐の嫁入り:舞踊集団菊の会

【桃畑】
敷の広間で姉の雛祭りが行われている。遊びに来た姉の友人たちにお団子を運ぶが、6人来たはずなのに5人しかいない。姉におまえの勘違いだと笑われ、華やかな笑い声に戸惑って台所に逃げ出すと、裏口に同じ年頃の少女が立っている。逃げる少女を追って裏山の桃畑跡に辿りつくと、そこには大勢の男女がひな壇のように居並んでいた。彼らは木霊で、桃の木を切ってしまったお前の家にはもう居られないと告げ、責める。しかし、桃の花を見られなくなったのが哀しいと告げる私に態度を和らげ、最後の舞を披露してどこかへ去って行く。後には桃の若木が一本だけ、花を咲かせていた。
出演:少年の私:伊崎充則 桃の精:建みさと 姉: 鈴木美恵 雛人形達:二十騎の会


寺尾聰

【雪あらし】
大学生の私は、吹雪の雪山で遭難しかけていた。3人の山仲間と共に3日間歩き続けたあげく、疲労困憊して崩れ込んだまま幻覚に襲われる。朦朧とした意識の中、美しい雪女が現れ、誘うように問いかけてくる。「雪は暖かい、氷は熱い」と囁かれ、薄衣を被せるように深い眠りへと沈められそうになるが、危ういところで正気に返り、仲間達と山荘を目指し歩き始める。
出演:私: 寺尾聰 雪女:原田美枝子 パーティの仲間:油井昌由樹

【トンネル】
敗戦後、ひとり復員した陸軍将校が部下達の遺族を訪ねるべく、人気のない山道を歩いてトンネルに差し掛かると、中から奇妙な犬が走り出てきて威嚇してきた。追われるように駆け込んだトンネルの暗闇で私は、戦死させてしまった小隊の亡霊と向き合うことになる。自らの覚悟を語り、彷徨うことの詮無さを説いて部下達を見送った私はトンネルを出るが、またあの犬が現れ、吠えかかってきた。私はただ、戸惑うしか無かった。
出演:野口一等兵:頭師佳孝 少尉:山下哲生 第三小隊:二十騎の会

【鴉】
中年になった私がゴッホのアルルの跳ね橋を見ていると、いつしか絵の中に入っていた。彼はどこにいるのか。彼は「カラスのいる麦畑」にいた。苦悩するゴッホが自作の中を渡り歩く後を、私はついて行く…。
出演:私: 寺尾聰 ゴッホ:マーティン・スコセッシ(監督)
※この章では、ショパンの「雨だれの前奏曲」が使用されている。また、台詞は英語とフランス語(日本語は字幕のみ)で演じられている。

【赤富士】
大音響と紅蓮に染まった空の下、大勢の人々が逃げ惑っている。私は何があったのかわからない。足下では、疲れ切った女性と子供が座り込んで泣いている。見上げると富士山が炎に包まれ、灼熱し赤く染まっている。原子力発電所の6基の原子炉が爆発したという。居合わせたスーツの男は、懺悔の言葉を残すと海に身を投げた。やがて新技術で着色された、致死性の放射性物質が押し寄せる。私は赤い霧を必死に素手で払いのけ続けた…。
出演:私: 寺尾聰 発電所の男:井川比佐志 子供を抱えた女:根岸季衣


寺尾聰

【鬼哭】
霧が立ち込める溶岩荒野を歩いている私を、後ろから誰かがついてくる。見ると、1本角の鬼である。世界は放射能汚染で荒野と化し、かつての動植物や人間は、おどろおどろしい姿に変わり果てていた。鬼の男もかつては人間で農業を営んでいたが、価格調整のため収穫物を捨てた事を悔やんでいた。変わり果てた世界で何処へ行けばいいのか惑う私は、苦しみながら死ぬこともできない鬼に『オニニ、ナリタイノカ?』と問われ、ただ逃げ出すことしか出来なかった。
出演:私: 寺尾聰 鬼:いかりや長介 鬼達:二十騎の会


寺尾聰、笠智衆

【水車のある村】
私は旅先で、静かな川が流れる水車の村に着く。壊れた水車を直している老人に出会い、この村人たちが近代技術を拒み自然を大切にしていると説かれ、興味を惹かれる。話を聞いている内に、今日は葬儀があるという。しかしそれは、華やかな祝祭としてとり行われると告げられる。戸惑う私の耳に、賑やかな音色と謡が聞こえてくる。村人は嘆き悲しむ代わりに、良い人生を最後まで送ったことを喜び祝い、棺を取り囲んで笑顔で行進するのであった。
出演:私: 寺尾聰 老人:笠智衆 洗濯女:カトリーヌ・カドゥ 村人:常田富士男
※この章は長野県の大王わさび農場で撮影された。

夢(AKIRA KUROSAWA’S DREAMS)

夢(AKIRA KUROSAWA’S DREAMS)

映画「羅生門」

羅生門羅生門
三船敏郎                      京マチ子

今回は黒澤明監督1950年製作「羅生門」をピックアップする。
本作の撮影は、大映京都撮影所で行われた。撮影所前の広場に原寸大の”羅生門”」のオープンセットを建設の門以外に作られたセットは検非違使の白洲のみで、森のシーンは奈良奥山の原生林と光明寺の森でロケーション撮影したそうだ。トップシーンの”雨”は、モノクロフィルムで迫力のある雨の画を撮る為に水に墨をまぜてホースで降らせたという。この手法は「七人の侍」の豪雨の中の合戦シーンでも用いられている。

【追記。訃報】
女優の京マチ子(本名・矢野元子=やの・もとこ)さんが、2019年5月12日に心不全のため都内の病院で亡くなったと、14日、東宝が発表した。享年95。京さんの生前の遺志により、この日、石井ふく子さん(92)ら数名の友人の立ち会いのもと、密葬が営まれた。石井さんによると、数年前、京さんがハワイへ赴き、自ら手配したお墓に入るという。京さんは49年に映画会社の大映に入社し、女優デビュー。映画「羅生門(1950年)」「雨月物語(1953年)」など数々の名作に出演した。遺作は2006年の舞台「女たちの忠臣蔵(石井ふく子演出)」。
スポーツ報知5/14(火) 17:25配信

羅生門羅生門
森雅之                       志村喬

【ストリー】
平安時代のとある薮の中。盗賊、多襄丸が昼寝をしていると、侍夫婦が通りかかった。妻に目を付けた多襄丸は、夫をだまして縛り上げ、夫の目の前で妻を強姦する。しばらく後、現場には夫の死体が残され、妻と盗賊の姿はなかった。
--物語は、この殺人事件をめぐり、目撃者の杣売(志村喬)と旅法師(千秋実)、捕らえられた盗賊(三船敏郎)と侍の妻(京マチ子)、それに巫女により呼び出された、死んだ侍の霊の証言により構成される。ところが事件の顛末は、証言者によってくい違い、結局どれが真実なのかわからない。盗賊によると、女がどちらか生き残った方に付いていくと言うので夫と対決し、彼を倒したが女は消えていたと言い、妻は妻で、盗賊に身を任せた自分に対する夫の蔑みの目に絶えられず、錯乱して自分を殺してくれと短刀を夫に差し出したが、気が付いたら短刀は夫の胸に突き刺さっていたと告白。そして夫の霊は、妻が盗賊に、彼に付いていく代わりに夫を殺してくれと頼むのを聞いて絶望し、自分で自分の胸に短刀を刺したが、意識が薄れていく中で誰かが胸から短刀を引き抜くのを感じながら、息絶えたと語った。 役所での審問の後、羅生門の下で雨宿りをしている杣売と旅法師は、同じく雨宿りをしていた下人(上田吉二郎)に事件について語る。下人は、短刀を盗んだのは杣売だろうとなじり、羅生門に捨てられていた赤ん坊の衣服を剥ぎ取ると行ってしまった。呆然とたたずむ杣売と法師。杣売は、赤ん坊を引き取って育てるという。法師が彼の行為に一縷の希望を見出し、映画は終わる。

羅生門羅生門
上田吉二郎、千秋実               三船敏郎、京マチ子

題名:羅生門
監督:黒澤明
企画:本木荘二郎、箕浦甚吾
原作:芥川龍之介「薮の中」
脚本:黒澤明、橋本忍
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大谷巌
美術:松山崇
記録:野上照代
編集:西田重勇
音楽:早坂文雄
助監督:加藤泰
デジタル復元共同統括:マイケル・ポゴゼルスキー
出演:三船敏郎、森雅之、京マチ子、志村喬、千秋実、上田吉二郎、加東大介、本間文子
1951年第12回ヴェネチア映画祭グランプリ賞、第24回アカデミー外国語映画賞受賞
1950年日本・大映/スタンダードサイズ・モノクロ88分35mmフィルム
羅生門 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

羅生門羅生門
1950年「羅生門」

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